第103回(2021/7/10)神奈川支部例会(Zoom例会)

形式:Zoomによるオンライン開催

【例会内容】

1.新井支部長挨拶、初参加者の自己紹介
2.招待講演
「段階的に発表される防災気象情報の利活用について」横浜地方気象台次長 永井 佳実 様

令和3年の出水期に向けた防災気象情報の改善事項から6項目について、 気象予報士に把握してほしいポイントを、直近の熱海の事例や当日の九州南部の事例も挙げて、具体的に説明頂き、また説明資料も共有頂きました。
@「避難情報に関するガイドライン」改訂:警戒レベル4、避難指示で全員避難など。
A大雨特別警報(土砂災害)の発表指標の統一:「基準値以上の1km格子が10格子以上出現」となり、従来より細分化され、対象地域が明確になった。
B記録的短時間大雨警報の改善:キキクルの「非常に危険」+記録的短時間大雨情報の基準到達→発表となり、適中率が改善している。迅速な防災対応につなげる。
C顕著な大雨に関する情報の発表:「線状降水帯」をキーワードに用いた解説。避難情報の再確認に使い、キキクルや「今後の雨」の活用につなげる。
D国管理河川洪水予報の改善:6時間先まで拡張され、早い段階で把握できるようになった。
E1日先の危険度分布の提供検討:リードタイムをより長く確保できるよう検討されている。
気象予報士から一般の方への働きかけのポイント
@自分の住んでいる地域の災害リスクを知ることを指導する。
A住んでいる場所に対応するキキクル情報の活用を勧める。
B色々な防災気象情報の意味や、使い方を指導し、リードタイムをとった防災行動に生かす。
3.会員発表
@「治水地形分類図って何?」広野 会員

(要旨)治水地形分類図を防災に役立てる案として、ハザードマップで大局を把握した後、 治水地形分類図で自宅周辺の地形的なリスクを把握し(1m標高図の作成による微高低把握は尚良し)、実際に歩いて「水害リスクを自分事にする」ことを説明頂きました。
A「鹿児島よもやま話」遠藤 会員
(要旨)桜島の降灰、黄砂、アジサイの開花、地磁気など、鹿児島気象台ならではの観測に係る話題を、写真とデータで説明頂きました。
B「火災保険料率と気象災害」山田 会員
気象災害を補償する火災保険の保険料率の算定の仕組み、2018年以降に自然災害(台風、水害)の影響が大きくなっている状況などを説明頂き、 リスクの大小によって保険料に差をつけたり、防災力を料率に反映させることで、火災保険が防災に寄与できないかなど提起頂きました。
C「平年値の更新と桜の開花日」内山 会員
平年値における気温の上昇幅を季節進行(歴日数)のずれで見たところ、東京と横浜の3月中旬頃の気温は5日程度進行が早まっており、 これはこの10年間の東京(4日)、横浜(3日)の桜の開花日の早まりと対応している結果であったことを、データにより説明頂きました。
D「タイムラプスカメラのススメ」高橋 会員
タイムラプスカメラとは「ゆっくり変化するモノをコマ送り動画で記録するカメラ」で、具体的に、植物の成長、雲の形状変化(対竜雲、吊るし雲)、温低通過時の気圧計の動きなど、 綺麗な撮影画像を見ながら説明頂きました。富士山による連続吊るし雲がV字型になる現象の解明を期待します。

参加者数

64名
写真撮影にご参加いただいた方々

トップページへ戻る