さくら開花観察マニュアル

調査全体の流れへ


※時間のない方は本文赤字だけお読みください。

1.調査対象木を決める
 
さくら開花調査に参加することを決めたら、まず調査するソメイヨシノの木を決めて下さい。観察・調査をするためにはあまり手間がかからないように、通勤・通学途上または日常の生活圏内で簡単に観察できるソメイヨシノを選ぶようにすることが大切です。その際に、調査する木は1本だけ決めていただければ結構ですが、可能ならば2〜3本くらい複数決めていただければ、より調査の質が高くなります。できるだけ日当たりのよい環境下で、特殊な条件に左右されるような場所ではないこと、また健康に育っている青年〜壮年くらいの個体であるものがよいでしょう。建物の陰などでほとんど日があたらないとか、壁に囲まれて日光が反射して周囲よりも高温になりやすいとか、若すぎたり老年の木だったりする場合には注意が必要です。また調査する木を複数にするのは、調査する木として選んだものが本当に標準的な性質を持っているのか、他の個体との関係をつかみ、その場所の特性を正確に把握するために必要であるからと考えて下さい。もし調査できる範囲にソメイヨシノの木が沢山あるような場所があれば、是非とも2〜3本選んでほしいものです。しかし、そのような都合のよい場所がない場合も多いと思いますので、複数本選ぶということにこだわる必要はありません。どちらにしてもできるだけ標準的なさくらの木を選んで、是非とも多くの方に参加していただきたいところです。

ソメイヨシノを見分けるのに自信がない方はこちらへ寄り道

2.参加の登録をする
 日本気象予報士会のさくら調査のページから参加登録をしてください。
詳しくは参加登録のページをご覧下さい。参加登録は随時行っています。開花の観察が先になって参加登録が後でも構いません。ちょうど開花の時期に出張があって参加は無理そうだな・・・などの心配もあまり考える必要はありません。例えば「3月〜4月にかけてずうっと海外にいる」では参加はできないと考えるべきでしょうが、3〜4日間調査場所を見られないという程度であれば参加には支障がないものとお考え下さい。参加登録してみたが開花の観察は逃してしまった!でも構いません。どうぞ気軽に参加していただきたいと思います。

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3.開花の観察をする
 
さて、いよいよ開花の観察の実施ですが、これは現在気象庁で実施している開花の基準にあわせて判断していただきたいと思います。開花の判断基準は2003年から少し変わりました。それまでは、数輪のつぼみが開いた時点が開花であるとしていましたが、現在は5〜6輪の花が開いた時となっています。数輪が5〜6輪に変わったからといって、大した違いはないじゃあないか?とも思いますが、例えば昨年(2004年)の東京付近では開花の時期に低温傾向になり、2〜3輪の花が開いてその日の観察を終えたという参加者が出ています。そうなると2002年までの観察と比較すると当然開花日が1日ずれることになるわけです。できるだけ同じ基準で客観的な観察をしていただきたいと思いますので、5〜6輪の花が開いていることをもって開花と判断してください。2〜3本の複数本を調査する木として選んでいる場合は、その中の1本でも開花したときを開花日としてください。また、調査する木として選んだもの以外の木が先に開花した場合は開花とはしないでください。あくまでも調査する木として選んだものだけにすることが客観性を保つ秘訣です。さらに、1日に何回も繰り返して観察する必要はありません。各自の都合で朝1回でも夕方1回でも、都合により観察する時間帯が変わっても問題ありませんのでご自分の生活パターンに合わせて実施してください。

4.開花したことを投稿する
 実際に開花を観察できたら、その事実をできるだけ早めにさくら開花調査のホームページ上から投稿してください。
観察は通勤・通学途上あるいはお買い物や散歩の途中にすることになると思いますが、観察した当日に、帰宅後夕飯やお風呂の後、あるいは夜寝る前などにでも少し時間をさいていただき投稿して下さい。さくら前線の進行の様子を参加者全員で作成していくのがひとつのねらいですから、できるだけ皆様のご協力が必要なところです。また、データを最終的にまとめて解析しますので、観察結果の投稿は、その日に忘れてしまっても貴重なデータになります。観察の結果は遅れてしまっても必ず投稿するよう心掛けていただきたいと思います。

投稿のページ(今年度は終了)

5.満開の観察をする
 
次に、満開の観察です。満開の判断は、その木全体の8割以上のつぼみが開花した時とします。つぼみのすべてが完全に開いた時ではありません。まだ2割つぼみが残っていても満開なのです。そんないいかげんな!と感じるかもしれませんが、このままマニュアルを読み進めればその理由はすぐにわかります。しかし、この基準から満開を判断する時には、少し注意をしないと開花の割合を大きく見積もってしまう恐れがありますので注意が必要です。つぼみは、それが開いて花が咲くと当然サイズが大きくなりますし、沢山咲いてくるとつぼみはその陰に隠れて目立たなくなります。ですから、満開かな?と思った時には少し冷静に、観察している木の全体を見てください。もちろん見た目で全体がよく開いているならば満開と判断して問題はありませんが、まだ枝先につぼみが目立つなと思ったら本当に8割を超えてるか、もう一度慎重に判断してみて下さい。これはもちろんつぼみの数と開いた花の数を数えてその割合を計算して出すようなことをしてくださいといっているのではありません。そんな手間がかかることは気象庁でもやっていません。まだつぼみが残っていても枝先まで全体がよく開いているならば満開であると考えましょう。また、満開の観察時に困る問題として、時には満開前であるのに最初に開いた花が散り初めてしまうことがある、ということが上げられます。関東付近ではソメイヨシノは開花から満開までおよそ1週間かかります。そして、ひとつの花に限れば、開いてから散るまでせいぜいもって、これまた1週間です。すなわち、最初に開いた花は満開になる頃にはちょうど散ってしまうということになります。そして、この開花から満開までの期間の長さは、天候の推移によって時には10日、さらには2週間と異常に長くなることがあります。ですから、まだ枝先のつぼみがほとんど開いていないのに、先に咲いた花がどんどん散っているというようなこともありえます。そうすると、今年は満開はなかった?などと考えたくもなりますが、あくまでも満開とは木全体の8割が開花した時です。すなわち、散ってしまった花でも開いた花であることには変わりませんので、散ってしまった花も合わせて開花が8割を超えたかが判断のポイントであるといえます。花が散り始めていても満開はあるのです。満開のイメージとちょっと違うかもしれませんがこのように統一しておきたいと思います。実際にはつぼみはかなり後まで残っているものです。すべての花がまだひとつも散っていないで、つぼみも全部開いている、ということはソメイヨシノではありえないと考えて下さい。

6.満開になったことを投稿する
 
4の開花の投稿と同様です。

7.散り終わりの観察をする
 
最後は散り終わりの観察です。満開が過ぎてしばらくすると花吹雪になります。さかんに花びらが散っていく様子は美しく、また、はかなさの象徴として注目を浴びるものです。ところがそれを過ぎるとさくらへの関心は急速になくなってしまうのが一般的です。新緑の桜の下ではもう桜を見上げる人はほとんどいません。そんなことをしていたら毛虫が落ちてきた!などということもありそうです。しかし、新緑の桜の様子もまた美しいものです。忘れてしまいがちですが、是非散り終わりのときを調べてみて下さい。散り終わりのポイントは、一見しただけではすでに花は見られないが、よく見るとまだ花が数輪〜数十輪残っていても、しばらく見ていて風に吹かれて花びらがハラハラと舞い落ちてこなくなったときです。関東付近では通常、満開から10日〜2週間あとに散り終わりを迎えます。散り終わりの頃ではまだ早いですが、さらにサクランボを探すのもまた一興です。ソメイヨシノは雑種でサクランボは滅多にできませんが、それでも時には大きな実が取れます。食べてもあまりおいしくありませんので生食は進められませんが、サクランボができているところを観察するのも楽しいでしょう。

8.散り終わりの投稿をする
 4および6の開花・満開の投稿と同様です。最後に観察した散り終わりの投稿することにより、今年の観察が終わりになります。いよいよ参加者全員で作り上げたさくら開花前線をスタッフで解析する作業が始まります。その結果をWebに公開するまでしばらくお待ちください。また、さくら開花調査に参加した皆様全員に参加証を送らせていただきますのでお待ちください。

 

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