有志親睦団体活動
 
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第4回勉強会

【勉強会】

日時:10月16日(日) 13:00-17:00
会場:オカモトヤ(虎ノ門) 4F会議室
   東京都港区虎ノ門1-1-24 第1オカモトヤビル4F
   TEL.03-3591-2251

テーマ:最新の長期予報

  1. 気象庁の長期予報(季節予報)
    • 予報の概要
    • 予報資料とその使用法
  2. 長期予報の利活用
    • 長期予報利活用に向けての世界の動向
    • 1か月予報ガイダンスのパフォーマンス
  3. その他

講師:気象庁 地球環境・海洋部 気候情報課 渡辺 典昭 様

講演資料:

  • プレゼンテーション資料
    パワーポイントファイル
    (88ページ、ファイルサイズ約3.2MB)
    pdfファイル (88ページ、ファイルサイズ約2.2MB)
     
  • レジメ「長期予報の利活用に向けて」
    その1
    (7ページ、pdfファイル、ファイルサイズ約600KB)
    その2 (4ページ、pdfファイル、ファイルサイズ約440KB)
    その3 (7ページ、pdfファイル、ファイルサイズ約390KB)
    その4 (21ページ、pdfファイル、ファイルサイズ約250KB)

会費:900円

【懇親会】

勉強会終了後、懇親会を予定しています。
日時:10月16日(日) 17:15-
場所:月の宴 虎ノ門駅前店
   港区虎ノ門1-1-21 新虎ノ門実業会館2F
   TEL.03-3591-8688
会費:4,500円くらい

【参加者の報告と感想】

本会メーリングリスト フォーラム長期予報利活用研究会メーリングリスト 等に投稿された内容を一部抜粋して掲載してあります。

10月16日(日)に開催されました「長期予報利活用研究会」の第4回勉強会に、第1回、第2回、第3回に引き続き参加致しましたので、その模様を皆様へご報告申し上げます。
今回は、これまでの「長期予報の基礎」全3回の勉強会を踏まえ、最新の長期予報手法の動向など、基礎的勉強の総仕上げでした。
今後は、長期予報を利活用するための具体的な実践に移ります。 長期予報の利活用は、あらゆる職業のメンバーを擁する日本気象予報士会の強みを生かせる分野のひとつです。

以下、今回の勉強会の内容概略を報告致します。
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長期予報利活用研究会 第4回勉強会

実施日時:平成17年10月16日(日) 13:00〜17:00
実施場所:オカモトヤ(東京・虎ノ門) 4階会議室
講師:気象庁 地球環境・海洋部気候情報課 渡辺 典昭 先生
   (気象庁で長年にわたり長期予報をご担当)
テーマ:長期予報の利活用に向けて
   ※なお今回の内容は、渡辺先生の個人的な気象知識の提供であり、
    気象庁の公式見解ではない、とのことです。
参加者:30名強(会議室の前から後ろまで、ほぼ一杯でした。)

内容: <長期予報を利用するには、どういう知識が必要か>
本日の講師である渡辺先生は、前回までの講師を務められた酒井先生と同じ職場(長期予報課)で、長期予報について長年の経験を積んだ予報官である。気象庁内部では、長期予報の利活用についてはほとんど関心がない。気象予報士が、長期予報の利活用について考えてくれるのは、非常に嬉しい限りである。今日は、長期予報の利活用に向けて、
(1)気象庁の長期予報(季節予報)
 ・予報の概要、 ・予報の手法、 ・予報資料とその使用法
(2)長期予報の利活用
 ・長期予報利活用に向けての動向
 ・1か月予報のパフォーマンス
(3)その他、気象庁の動き
などについて述べる。

(1)気象庁の長期予報(季節予報)
長期予報の基本
・現象のスケール・・・空間的に大きな現象、ゆっくり変動する現象
・平年からのズレ・・・対象となる現象の変動幅は小さい
・季節変化・・・非常に大きい
(「この夏は、冬よりも暖かい」と言えば、いくら冷夏でも予報が当たるが、そんな予報は使えない。したがって、平年からのズレで予報する。)

気象庁の長期予報の概要
・1か月予報、3か月予報、暖候期予報、寒候期予報。
・予測手法は、数値予報(アンサンブル予報)と統計的手法。 長期予報のためのシステム
・初期値と境界条件(3か月予報、予測した海面水温を与える)。
・ECMWF(European Centre for Medium-Range Weather Forecasts)は、
 大気海洋結合モデルを使用している。
統計的手法
・CCA(正準相関分析)
 第1主成分が海面水温の経年変化(トレンド)となった。(海面水温上昇傾向)
 第2主成分がエルニーニョのパターン。・・・困った。。。
力学的手法
・第1種の予測可能性・・・初期値の微小な誤差が急激に増大。
・第2種の予測可能性・・・境界条件の変動が外力として働く。
数値予報の概要
・初期摂動作成手法
 1か月予報
  BGM法・・・誤差が大きくなるもの
  24時間LAF法・・・初期値そのものを変える
 3か月予報
  SV法(最適モード法)・・・過去データにどういうところに違いがあると
                  違いが大きくなるかを解析する方法

ガイダンスとは、、、
粗い格子から細かい情報、すなわち高度・風などの数値予報モデル出力の格子点値から、発表予報の気温、降水量などを抽出。
ガイダンスの概要(1か月予報)
・日別予測式ガイダンス
・期間平均予測式ガイダンス
・確率ガイダンス
手法は重回帰式。目的変数は地域平均平均気温、降水量平年比、日照時間 平年比など。説明変数は850hPaや500hPaの温度・高度や風の成分、渦度、湿りなど。
なお、「系統誤差の除去」とは、モデルの癖を考慮して、その影響を取り除くこと。
ガイダンスの概要(3か月予報)
・ガイダンス(最適予測値)・・・重回帰式。
・確率・・・分布を仮定。

長期予報作業の実際
・1か月予報・・・2005年9月2日発表分を例にしてまずは、紙をボンヤリ眺めることから始める。
500hPa高度図、スプレッド・高偏差確率の図など。
台風14号がウロチョロしていたので、どうしたものか、、、。
ここ数年は9月の気温が高く、秋雨の雨が10月にずれ込んでいる。
ガイダンスの確率の数値、ヒストグラムの分布など、を考慮。
・3か月予報・・・2005年5月25日発表分を例にして太平洋・大西洋で対流活動の活発なところ。フィリピンと日本との相関。 どうも話がうまく合わないと、、、気候値に合わせる。(人間のできること。。) ガイダンスには熱帯の情報があまり入ってこないので、どう加味するかが予報官の腕の見せ所となる。

(2)長期予報の利活用
天候デリバティブに脚光(日経流通新聞1999年9月21日)
立平(1999)「従来、気象予報の精度向上のためには多大の努力が払われてきたが、今後は、最大の利益を引き出す技術にももっと関心を払うべきである。」

長期予報利活用に向けての動向
2000年3月の極端な予報例・・・使おうとするときに、どう使ったらよいか?
1999年12月の極端な予報例・・・1個のとんでもない予報が、実況に一番近かった。
いつもいつもアンサンブル平均が良いわけではない。1個だけ外れた予報が良いわけでも、もちろんない。
アンサンブル予報の未来(Palmer et al.,2000)・・・確率予報の定量的利用に向けて
ユーザー・アプリケーション・モデル:目的にあった確率密度モデル

長期予報利活用に向けての動向
・ヨーロッパECMWF "Member State Meeting" モデルの検証
・アメリカNOAA Work Shop (2006年3月に、やっと第4回目)。
※このWork Shopでは、予測に関する技術的なことは扱わない!
・立平(1999)の提唱するスキーム
 仕様書に合わせた気象予報・・・ここが一番大変。
 気象予報の精度評価・・・ある程度のデータがないと、こっちも大変。

確率予報の評価方法とパフォーマンス
・信頼度曲線と頻度
・ROC(Relative Operating Characteristics)
・損失軽減率
信頼度曲線は、Y=Xの線上に乗れば理想的。しかし、、、。
ROCの算出方法は、コスト/ロス・モデル。
損失の軽減率は、コスト/ロス・モデルを仮定して、計算式。。
1か月予報ガイダンスの成績は、気温はまずまずだが、降水量、日照時間はあまりよくない。損失軽減率についても、予報の価値評価は同様に、気温はまずまずだが、降水量、日照時間については寂しい状況。
※各々のユーザーのコスト/ロス・モデルについて、どんな特徴が出るか、各自考察のこと。

(3)気象庁の長期予報のこれから
・計算機システムの更新:2006年3月
→メンバー数の増加(26から50に)、ガイダンスデータの増加、CSV形式化
ガイダンスデータの増加については、
 対象地域:全国34地域(地方予報区の細分区まで)
 対象期間:7日平均値1日ずらし、14日平均値1日ずらし
 種類:日別予測式、期間平均予測式、確率ガイダンス
※例えば地域平均気温の予測では、日毎に「高い」、「平年並」、「低い」確率を予測。
更新後の目標:確率密度関数の推定。主要地点の確率密度関数も推定。
※ここまで出てくれば、気象に詳しくなくても何か出来そう・・・。統計の意思決定理論など。

その他
・2003年夏、2004年夏の1か月予報について
・ロスビー波のエネルギー伝播
・大循環の話題と最近の予報から(熱帯季節内変動)

この後、質疑応答5件。

懇親会
時間:17:00〜20:00
場所:「月の宴」虎ノ門駅前店
参加者:約20名
内容: 講師の先生方へ、長期予報に関する個別質問や、長期予報利活用に関する今後の展開など(?)。
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報告ここまで。

長期予報利活用研究会は、これでひとまず基礎的な勉強は終了し、次のステップに進みます。
具体的には、長期予報に対するニーズを把握し、その解決策を考えることです。
そのためには、さまざまな知恵を持つ気象予報士の協力が欠かせません。
皆さんも、長期予報利活用研究会で、社会に役立つ知識を創出してみませんか。

最後になりましたが、今回の勉強会の講師を務められました渡辺様、引き続き勉強会へアドバイスを下さいました酒井副会長、この研究会の代表である並木様、ホームページを作成して下さいました岩田様、勉強会の運営について、資料コピー、受付、会計、会場設営でご尽力された世話人の皆様に、この場を借りて深く御礼申し上げます。 以上、長期予報利活用研究会第4回勉強会の報告まで。

追伸:懇親会2次会について、 並木様、岩田様、小川様、川島様、高橋様、どうもありがとうございました。

 

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