予報は、対象区域を特定して行います。 ここでは、LAW(Local Area Weather)とGAW (Global Area Weather)の2種類の広がりをもった 区域についての予報を考えます。 GAWは日本の本州規模の区域、 LAWはその気象状況の発現がほぼ一様となるような区域(例えば、関東、 関西、東北地方等)でGAWに含まれるものとします。 特にLAWは、大気の移動を左右する地形の状況を強く意識することとします。
以下、説明・検討の便宜上、地点A(GAWに属する)、地点B(LAWに 属する)を本州上の異なる2地点とします。 AはBの西方に位置するものとし、Bを予想対象地点とします。 予想対象とする気象要素及び予想の論拠
基本モデル 練習の先頭へ戻る 「雨」は「水っ気」が無ければ、生まれません。 そこで、「H2O」を含んでいる気象要素を順序だて+組合わせて 雨の予想につなげるための方程式を作ります。 雨を予想する「基本モデル」又は、「直接的なモデル」とよびます。 =>降水の可能性、予想困難 (降水域の時間外挿をするのも手であるが) (降水域の勢力の消長の予想が前提となる) =>落下中の蒸発、 予想は困難 (地上気温が高いと、雪がとけるなどあるが) モデル11:降水域移動の時間外挿によるモデル 初期地点Aの降水域が予想対象地点Bに移動するであろうことを予想し、 初期値状態が継続するものと仮定し、地点Bの降水予想とするケース 初期値として、レーダーアメダス合成図も利用する。 降水量の時間外挿もできる モデル12:高層天気図の「湿り域」(T−Td)を手掛かりとするモデル 予想対象地点Bの高層天気図における「湿り域」が予想されている場合。 & 1.地点Aから移動してきたと予想される場合 モデル1の予想方法を利用する。 2.地点Bの雲は、初期時刻にはどこにも存在しなかった場合 暖気移流の存在が明瞭であれば、降水を予想する。 それ以外は、曇りを予想する。 モデル13:θeから湿潤暖気の移流+上昇流。。。雨を想定する θとのデルタ分だけ水分をふくんでいる モデル14 エマグラム(条件付き不安定、対流不安定。。。) から、大気の水蒸気飽和度および その地点の大気の安定性+LFCの存在−−−>降水の可能性 モデル15 雲解析情報図から雲域の種類に応じた降水を想定する 対流性の雲の下に対流性の雨 層状性の雲の下に地雨 暗域の前面に対流性の擾乱 モデル16 衛星雲画像から雲域に降水域を想定する => 南西風の下に低気圧 北西風の下に高気圧 下層の霧/層状雨の存在 モデル17 水蒸気図から暗域に晴れを、明域に雲域・降水域を想定する
補完的モデル 練習の先頭へ戻る 力学系モデルは、どこをどう絞っても、「水」は一滴もでてきません。 水蒸気凝結に寄与するための大気の移動を予想すると言う 「補完的モデル(二次的モデル)」として、機能します。 鉛直方向の大気の動きは−−>水蒸気凝結と言うメカニズムに寄与し、 水平方向の大気の動きは−−>水蒸気の移流・水蒸気の補給に寄与します。 モデル20:「暖気移流」、「寒気移流」が予想されている場合のモデル。 1.暖気移流域に上昇流の発達の可能性を予想する。 2.寒気移流域に下降流の発達の可能性を予想する。 モデル21:「上昇流域」、「下降流域」が予想されている場合のモデル。 1.上昇流域に水蒸気の凝結の可能性を予想する。 => 上昇流の存在 地上の気流収束がある時 上層に寒気の流入ある時 下層に暖気の流入ある時 2.下降流域に雨粒・雲粒の蒸発の可能性を予想する。 モデル22:高層天気図における気流の方向から: 1.上層気流が南西風の場合、その下に上昇流を予想する 2.上層気流が北西風の場合、その下に下降流を予想する このあと、モデル21を利用する。 モデル23:高気圧・低気圧の位置関係から大気の動きを判断する場合のモデル。 1.低気圧が地点Bに接近してくるとき、 (湿潤)南風・暖気移流+上昇流を予想する。 2.高気圧が地点Bに接近してくるとき、 (乾燥)北風・寒気移流+下降流を予想する。 このあと、モデル20、モデル21を利用する。 モデル24 高層天気図の等温線と等高度線の交差があれば =>鉛直流、水平流(移流)の可能性を想定する。 このあと、モデル20・モデル21を利用する。 モデル25:トラフやリッジの存在が予想されている場合のモデル。 1.トラフの前面に−−>低気圧を予想する。 2.リッジの前面に−−>高気圧を予想する。 このあと、モデル23を利用する。 モデル26:「渦度極大域」の移動が予想されているモデル。 1.接近してくれば−−>低気圧を予想する。 2.遠ざかれば−−>高気圧を予想する。 このあと、モデル23を利用する。 モデル27:パターンを利用する場合のモデル。 A. 温帯高低気圧−−>モデル23 B. 寒冷渦−−>上昇流の発達 C. 冬のシベリヤ高気圧−−>B D. 夏の太平洋高気圧−−>縁辺がB E. 台風−−>CISK F. 北東気流−−>層状性 G. 梅雨前線−−>前線上の小低気圧と集中豪雨 H. ブロッキング高気圧−−>現象の停滞性 ・ 観測困難な現象や、短時間のうちに発生・消滅する現象は 上記パターンには含めないものとします(例えば、ポーラーロー)。 モデル28:前線の予想: 地上低気圧の位置 => その南西側に寒冷前線を予想 長さ=1000〜5000km 地上風の分布 => 風向の急変域を前線とする 地上気温の分布 => 気温の急変域を前線とする 850hPaの => 等相当温位線の集中帯の 等相当温位 斜め下に前線を予想 鉛直断面図の逆転部分 => 転位層(逆転層)のところに前線面 エマグラムの逆転部分 => 転位層(逆転層)のところに前線面 前線の前面に上昇流、後面に下降流−−>モデル21
(1)「高層大気の流れ」を把握する | −−−>気象衛星画像
高知大学(ひまわり画像、半球図、世界図) |
(2)「天気の予想」を行う。
・ 基本モデルの利用 ・ 補完的モデルの利用 |
−−−>観測データ・天気図類
国際海洋気象(地上・高層天気図、降水量、レーダーアメダス合成図等) |
(3)「天気の予想結果を検討」する。 | −−−>天気予報・現況
ウェザー・テック社のライブ・カメラ(日本各地、世界各地多数あります) WN社(画像と天気図の対比が容易) 国際海洋気象(地上・高層天気図) CRC(天気予報:気象庁発表分) |
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