トップページへ戻る 予報士試験 Last Updated:1999-9/15, 2003-7/21

平成11年度第1回気象予報士試験問題解答予想及び検討結果

--------------------------------------- 実技1試験解答(予想です)、検討結果は[青字]で示します。 問1 [この問題は、気象衛星画像に写っている雲の種類を、与えられた 地上天気図、500hPa渦度、850hPa風・気温、 700hPa上昇流、SSI図,海面水温図 を使って、雲の生成因の根拠を答えさせるものです。 おのおのの天気図や図面から、気象要素の顕著な値を把握し、 気象衛星画像の雲域と対応させることが必要です。] 雲域A:(雲形)@ (理由) 可視画像で灰色、赤外画像で黒色に写っていること、及びSSIも 6と大きく、安定状態の大気であること。 (成因) 大陸の低気圧へ吹き込む相対的に高温・湿潤な大気が、相対的に低 温な海水面に接して生成したものである。 雲域B:(雲形)D (理由) 可視画像で白い部分がかなりあり赤外画像でやや灰色に写っている こと、一部地域に強い上昇流が存在すること。 (成因) 上層の気圧の谷の東の地域においてこれから発達しようとする低気 圧の北縁で、上昇流により厚い雲となった。 雲域C:(雲形)C (理由) 可視画像、赤外画像とも白い部分が顕著に写っていること、SSI も3以下で大気は不安定状態であること。 (成因) 東シナ海の低気圧に向かって吹き込む南よりの暖湿大気が、低気圧 中心付近で収束し、強い上昇流となった。 画像の外縁形状、明暗の分布に要注意。 そして、IRとVISの明暗の意味をハッキリ分かっておきましょう: IR:温度がセンスされている。→上空の雲ほど白い。 VIS:雲の粒の分量がセンスされている。→分厚い雲ほど白い。 注意: 上層の雲は、確かに温度が低いが、薄いので、下層からの赤外線を透過してしまい、 透過された温度も合算してセンスされる。このため、上層雲だけしかなくても、 真っ白でなく、灰色がかって見えることも多い。 また、雲の生成原因の表現においては、その雲が大気の「対流性」の活動に よるものか、「層状性」の活動なのかが分かるような書き方が望ましい。 問2 23日09時 23日21時 風向(8方位) 南西 北西 風速(ノット) 20 20 波の高さ(0.5m単位) 3.0 2.0 波の進行方向(8方位) 北西 南東 [検討したところ佐藤の問題文の読み違えのため(ウッカリミスをしました!)、 解答予想に誤りがありました。即ち、問題の解答例の24日09時を 到着地点の時刻と勘違いしてしまったため、上記の様な答えとなってしまいました。 23日09時、23日21時のおのおのの位置は、航路上の目的地までの 1/4及び1/2ですので、 23日09時 23日21時 風向(8方位) 東 北西 風速(ノット) 30 10 波の高さ(0.5m単位) 3.0 2.5 波の進行方向(8方位) 西 北西 が正しいと考えられます。 なお、波の進行方向とは、その地点からどの方向へ波が進んで行くかを表します。 風の場合は、風がどの方向から吹いてくるかを問題にします。波とは逆です。] 問3 (1)A (理由) 22日21時に、九州の南東側から強い湿潤大気の流入が予想され ていることと同時に、強い上昇流が予想されていること。さらに、 前12時間降水量が+91mmと23日09時の天気図に予想され ていることによる。 [この問題では、対象地域を九州南部にするか四国にするか迷いました。 しかし、+91mmの前降水量が顕著な地点が「防災上の要注意点」であろう と思いそのように解答しました。] (2) 九州の南西海上には低気圧があって東へ進んでいます。このため、 今夜半から明日明け方にかけて、九州南部では大雨となる恐れがあ りますので、今後の気象情報にご注意下さい。また前線の通過に伴 い、海上は風波が強くなりますので船舶は厳重な注意が必要です。 [ラジオ放送用の解説文を作成する問題ですが、 「どんな現象が、いつ」を必ず入れることが必須です。 更に、その気象現象による予想される気象災害も必要です。 日常何気なく聞き流している文言です。従って、自分の書いた解説文 が「違和感無く」聞こえれば、半分はできたも同然?でしょう。 もっとも、対象とする地点を間違っては話になりませんが。。。] 文章の構造及び、構成要素としては、 [いつ][どんな気象現象が][どこで][どの程度で]、従って[こう言う気象災害]の可能性がる。 ことを表現すればよいでしょう。 問4@c Ac Bd Cc Dc Ec Fa Ga Ha Ib [この問題は、レーダーエコー、アメダス雨量、数値予報の風・気温・上昇流 があたえられています。特別難しい部分や、判断に迷う部分はないと思われます。 慌てずに、順次こなしていけば全部正解、となるでしょう。 この問題において、地形データやもう少し精密な風・気温のデータが与えられると 降水短時間予報の、降水の盛衰を含んだ問題を作ることが出来そうです。] --------------------------------------- −−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 佐藤 元 E-mail:satoh@ny.airnet.ne.jp