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平成11年度第2回気象予報士試験問題解答予想及び検討結果

--------------------------------------- 一般学科試験解答(予想です)、 [青字]部分は、2000-2/3時点での検討結果です。 [赤字]部分は、その後の注記or追記です。 問題..解答 # # 1......5 2......4 3......4 4......3 5......5<−−4が正解の様です。 6......1 7......4 8......1<−−2が正解の様です。 9......1 10.....3 11.....2 12.....3 13.....1 14.....1 15.....5 --------------------------------------- 一般学科 問題..解答と検討 1......5 [地球型惑星及び木星型惑星の大気の組成を問う問題: 地球における二酸化炭素は海水中に溶けこんでいます。 木星型惑星の大気は分子量の小さい気体(水素・ヘリウム)から 構成されています。] 2......4 [気圧の次元に関する問題: 第12回試験にも次元を問う問題がでました。 気圧の単位を思い出して下さい。hPaの単位をMLTで表すのは 覚えていないと難しいですが、気圧の定義の原点に戻って、 気圧とは、単位面積当たりの大気の重さである、ことを思い出せば、 気圧=(重量x地球の重力の加速度)/面積 ですので、 (kg)x(m/秒の2乗)/(mの2乗) と表され、上式を計算すると、 (Kg)/((秒の2乗)x(m))、 即ち、 M/((L)x(Tの2乗)) となり、 αβγが1,−1,−2と得られます。 なお、「気圧の定義」を持ち出さなくとも、そのほかに P=ρRTやΔP=ρgΔZなどの式からも単位をそれぞれ当てはめて 次元MLTを算出可能です。] 3......4 [大気の静力学的安定度を問う: 温位を横軸、高度を縦軸にして、絶対安定、絶対不安定の図として 正しいものを選択します。 図を見るポイントは、 「同じ高度において、それぞれの温位を比較する」 という「問題の趣旨に応じた解答の方針」をもつことが大事です。 この方針で、問題の各図を見ます。 同一高度で、右ほど温位が高いので、「高温位側の線」は、同一高度で 温度が高いので、最も安定です。逆に最も左ほど不安定です。 その中間に関しては、少々厄介です。 乾燥断熱線は等温位線ですから、まっすぐな線であるべきです。 この問題で難しいのが、湿潤断熱線が乾燥断熱線の左右どちらに 引かれるべきか、ですが、エマグラムを思い出して下さい。 エマグラムで一つの大気塊を上昇させるとき、 LCL以上では湿潤断熱線は必ず乾燥断熱線の右側にあります。 LCL以下では、左側にあります。 以上の考え方より問題の図においては、 湿潤断熱線は乾燥断熱線の右にあるべきです。 以上の考え方に適合する図を選びます。 問題の図は、いろいろ紛らわしいですが、 落ち着いて上記のことを検討すれば、正解に至ります。] 上の記述において、 乾燥断熱線は等温位線ですから、 [縦に]まっすぐな線であるべきです。 と縦方向を、追加して下さい。 4......3 [フェーン現象に伴う温度変化を計算する問題です: 与えられた温度減率を正直に適用すれば、解答に至ります。 ポイントは、「雲が生じた」「雲が消えた」ことを 乾燥断熱変化、湿潤断熱変化と関連付けて、適切な温度減率を 用いることに有ります。 この問題解答に迷うことがあってはいけません。 非常に基礎的な、かつゴチソーの問題です。 ] 5......5 [雲粒のサイズや落下速度に関した問題です: 雲粒と雨粒のサイズ比は、凡そ100万倍の違いがあること、 を思い出して下さい。 次、落下速度は、問題で与えられた関係を式であらわすと 重力mg=抵抗力6πrηV です。 ここでm=(4/3)x(π)x(rの3乗)x水の密度(1) ですから、 (4/3)x(π)x(rの3乗)x1xg=6πrηV となり、V=((4/3)x(π)x(rの2乗)xg)/(6πη) となり、 Vはrの2乗に比例することとなります。 問題は、雲粒の半径が2倍になった場合の話ですので、 上式で計算すると、Vは4倍になります。] 解答を5番としましたが、4番が正解の様です。 私は、問題文の終端速度を本来「雲粒」なのに「雨粒」と誤解していて、 10cm/sでも遅いと思っていました。 私には、どうも「早合点する癖がある様です」 なお、半径10ミクロンの水滴の終端速度は、 一般気象学(第2版P.89)によれば1.2cm/s、とあります 雲粒と雨粒の体積比即ち質量比は、凡そ100万倍の違いがある、に訂正して下さい。 6......1 [大気の放射に関する問題です: 大気による放射の吸収で、 紫外線の吸収は、オゾンや酸素、 赤外線の吸収は、炭酸ガスヤ水蒸気によります。 (c)の「地球放射」は、「赤外線の放射」と同じと考えられますので、 (b)の箇所の記述を参考にすれば良いでしょう。 ] 7......4 [気圧傾度力、コリオリ力、摩擦力の釣り合いの計算問題です: 解答のポイントは、3つの力関係を図上に正しく描くことです。 (多くの書物に載っています) そうすれば、三角関数の問題となります。 そこまで来れば、間違いなく解答できるでしょう。 等圧線と風の方向のなす角度をα(=海上30度、陸上45度)とします。 気圧傾度力をG、コリオリ力をC、摩擦力をFとします。 速度Vと力の関係は、 F=定数xV....(1) C=コリオリ因子xV....(2) 釣り合いの関係式は、陸上、海上に関わらず、一般的な表現にしますと、 C=Gcosα....(3) F=Gsinα....(4) (ベクトルGのsin方向がF、ベクトルGのcos方向がCとなります。) となります。 以上の式から、風速Vを算出出来ます。 注意!!! 摩擦力の式の定数は、大気は地表面と接する状態により異なります ので、この問題では、地表面の状態に関係なく成立する(2)式 C=Gcosα=コリオリ因子xV を使う必要が有ります。 (陸上と海上は近接していると仮定します。 例えば1000kmも離れると値に誤差が生じます。) 以上より、Vはcosαに比例することが分かります。 そこで、あとは、三角関数の問題となります。 海上風速/陸上風速=cos30度/cos45度 =(ルート3/2)/(1/ルート2) =(ルート6)/2 もし、(1)式を採用すると、結果は異なります。 避ける様にして下さい。] 8......1 [大規模な地域での風向と風速の問題です: 問題7の続きの様なものです。 風はコリオリ力により右向き(北よりとなる)に方向を転向 させられます。広い湖面上では陸上に較べて摩擦力が小さく、 従って、風の進行を抑える役割が小さくなり、速度が大きく なります。速度が大きくなると、より一層右方向へ転向させ られます。 陸地へ再上陸すると、摩擦力は再度大きくなり、風速は 湖面上に比べて小さくなります。風速が小さくなれば、 コリオリ力も小さくなり、転向量もすくなくなります。 この様に、摩擦力の大小は、風速の大小関係となり、 更に風向の転向量に影響します。 以上の関係を考えて、解答を1番としました。] しかし、正解は、2番の様です。 気圧傾度力は、大気粒子を常に高気圧側から低気圧側へ動かす 様に作用しています。即ち、再上陸後、湖上で右へ向いた風向 を元へ戻そうとしますので、再上陸後の風向は、風上側とほぼ 同じになる、と考えられます。 [この問題検討に関しては、北海道気象予報士会の山崎先生から  ヒントを頂きました。] 9......1 [成層圏突然昇温の問題です: 成層圏突然昇温の原因を知っているか否かの問題です。 筆者には、成層圏突然昇温の理論は理解の範囲外ですが、 「対流圏のプラネタリー波、成層圏での大気の下降運動」 ということをキーワードとして覚えていましたので、 そのような選択肢を選びました。] 10.....3 [大気の温室効果に関する問題です: この問題の(c)で、太陽放射と地球放射の比を 求めるよう問題は要求しています。 この解答に対して、どの様に考えて解答してよいのか分かりません。 別途、分かった時点で、ここに掲載するかも知れません。 ご容赦下さい。 ] その後、一般気象学を読んでみました。同書の記述は、 或程度わかりますが、問題は、大気から地球に向かって放射される分量が どれだけあるか、です。問題文中には明示されていない様子ですので、 お手上げになってしまいました。 参考−−>「一般気象学」第2版P.120−121あたり。 11.....2 [予報業務の許可制度に関するする記述の正誤です。: ごく常識的な問題です。 ただし、予報業務の許可書を事業所に掲出することや、 予報業務を廃止したとき15日以内に届け出ること に関しては、うっかり引っかからない様にして下さい。 ] 12.....3 [気象業務法の予警報、発表、報告などに関する記述: 観測の成果の無線通信によ発表は、予報業務許可を得ていても 出来るものでは有りません。 法25−26条に、無線通信による資料の発表業務についての規定があります。 ] 13.....1 [気象業務法に規定されている種々雑多な記述: ・予報の定義 ・警報の定義 ・警報の通知、周知の伝達経路 ・罰金刑 に関する記述の正誤が問われています。] 14.....1 [気象予報士に関する記述: ・登録申請 ・名簿の変更届の時期 ・罰金刑を受けた場合の登録 ・登録の抹消 に関する記述の正誤が問われています。] 15.....5 [災害対策基本法に関する記述の空欄問題: ・伝達される情報 ・伝達の根拠 ・伝達先 を知っていて、空欄を埋めます。] --------------------------------------- 以上で、解説を終了しますが、説明は十分でしたでしょうか。 気象業務法に関しては、特に解説するほどの疑問点・問題点もない、 (概ね素直な問題ばかりです) と思いましたので、解説は省略しました。 なお、佐藤の、理解違いがあるかもしれません。 皆様からの、ご指摘・ご教示を宜しくお願いいたします。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 佐藤 元 電話:044−811−2628 FAX :044−811−2628 E-mail:satoh@ny.airnet.ne.jp