トップページへ戻る 予報士試験
以下、正解を保証するものではありません。
なお、解説文中のリンク先は、拙著「天気図と気象理論」を主体としてリンクしています。
Last Updated:2003-5/06, 5/07
平成14年度第2回(平成15年1月実施)気象予報士試験、解答予想及び検討
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学科試験解答(予想です)
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(正解は、支援センター等の解答を見てください。)
一般学科
問題..解答予想 検討
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1......4 @で殆ど毎年大きな昇温が観測される、とあるが、私の理解では、数年に一度、
発現する、と記憶しています。したがって@は誤答の可能性があります。一方、
Cの温位が成層圏で対流圏に較べて「大きくなる、小さくなる」の問いに対しては、
2つの考え方が可能です。
一つは、AXJPの鉛直断面図を見れば明らかな様に、上空ほど温位の線が密に
なっている。即ち成層圏の方が傾度は大きい。
もう一つの考えかたは、温位の定義式をもちだしてきて、温位の鉛直方向の傾きを
数式表現してみます。 温位θ=T(P1000/P)exp(0.268)
すなわち、θは気圧が低下するほど、指数関数的に大きくなります。
(即ち、このことは、エマグラムの縦軸が対数尺になっていること、乾燥断熱線が
エマグラム上でほぼ直線になっていること、対数尺を普通尺に描きなおしてみると、
直線と見えた線が、上空へ行くほど、急上昇すること、を意味します。)
即ち、成層圏の方が傾度が大きいことになります。
以上より、4が誤答と考えられます。
2......2 部屋の体積=30m3。飽和していれば、21.8X30=654
その60%であるから,654X0.60=390
この問題の場合、水蒸気の圧力は計算には関係ありません。
3......1 エマグラムで考えてください。
露点温度は、凝結の如何に関わらず、高度又は気圧に応じて変わるものです。
混合比は、凝結すれば、水蒸気量が減るので、変わります。
温位は、湿潤断熱曲線上を大気が動くにつれて、変わります。
相当温位は、湿潤断熱曲線上を大気が動くときは、不変です。
露点、湿数、混合比 等の水蒸気に関連し、数値的取り扱いをするケースが
よくあります。その意味するところを、押さえておきましょう。
4......2 一見してAと感じるし、通常偏西風はこの辺りが最も強いものです。
地衡風は上空へ行くほど(大気の密度が小さくなるので)強くなります。→(イ)
この前提は、南北の温度傾度、即ち大気の等圧面高度の傾斜があることが前提です。
問題においては、200hPa以上の高度では、気温の南北分布が逆転しています。
即ち、逆風になります。→(ロ)
以上、(イ)と(ロ)を考えると、Aの辺りが、風速の変曲点に成っていること
が推定されます。この変曲点が、風速の最大値を与えると考えられます。
なお、温度風の関係 が教えるところでもありますが、
南北温度傾度があるほど、上空にいくにつれ、地衡風が強くなります。
5......2 Aが分かりにくいが、このように考えよう:
水蒸気と水滴の共存状態において、それぞれの圧力を考える:
・2相の圧力傾度が小さいときや等しいときは、飽和。
・水滴表面圧力>水蒸気圧力、の時は、蒸発促進。
・水滴表面圧力<水蒸気圧力、の時は、凝結促進となる。
さて、いま凝結促進を考えるとするとき、水蒸気圧力を一定とするならば、
水滴表面圧力を下げる必要がある。題意とは逆にしなければならない。
水滴の表面に置ける圧力と、その周りの空間に存在している水蒸気の圧力の2相
の圧力差を頭に入れておき、凝結や氷結には、圧力傾度が、促進要素になっているのだ、
と言うことを思い出すようにしてください。
6......2 Aの議論で、1年を通して受けるエネルギー総量を南北半球で比較しているが、
大小を議論するほどの違いがあるのだろうか。私には分からない。
ちなみに近日点は太陽から、1億4710万km、遠日点は太陽から1億5210万kmである。
3%程度の距離の遠近差がある。
この大小関係が、気象現象にいかなる違いをおよぼすのか、
そういう観点の、話を寡聞にして聞いたことがない。
但し、問題文が言っていることは間違いなさそうである。
即ち、北半球は、冬場は南半球よりは太陽に近く、遠日点を考慮すれば、
幾何学的位置関係から判断して、題意のとおりだろう。
Cについては、よく分からないが、次のように考えてみよう:
エネルギーを放射強度、と考えれば、有名なステファンボルツマンの法則がある。
放射強度は温度の4乗に比例する。温度は波長に反比例する(ウィーンの変位則)。
可視光線の波長は、赤外線の波長より短い。ゆえに、短波の方が赤外より温度が大きくなる。
以上より、可視光線域(短波波長域)の方がエネルギーが高い、と言える。
7......5 底面積1m2、高さ100mの気柱の重量を計算すればよい。
(1.25−1.20)x(1X100)=5kg
かかる力は、5x10=50Kg重、
100Kg重で1hPaであるから、50/100=0.5hPaとなる。
8......5 各辺において出て行くまたは入ってくる風の量を計算すればよい。
9......5 見慣れない式が出てきているが、単純な数学(というほどのものでもないが)
の問題です。気象の本筋を問う問題にあらず。
10.....1 ごく素直な問題です。
11.....2 (c)は、難しい。しかし、その他は易しい。
12.....3 (c)は、何が問題なのか、私には分かりません。
「気象庁の予報事項」とは、何を言っているのでしょうか。
問題のための問題を作ると、「こなれていない日本語」が出てきますので、
大変ですが、法律条文をシッカリ理解していれば、「ニセモノ」を見破れると思います。
13.....3 (c)は、正しいように思われますが、要注意。「迅速に受けること」!!
14.....2 (d)は、最初は、私の古い知識では、正しいかどうか分かりませんでした。
良く調べると、この規定がどこにあるのか分からなかったのですが、
平成6年の法律には記載が無いものの、平成8年の法律には記載があります。
15.....4
法律は改正されることがありますので、余り古い法律書では、
対応できなくなる恐れがあります。要注意です。
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(正解は、支援センター等の解答を見てください。)
専門学科
問題..解答予想と検討
# #
1......1 仮温度を考慮して計算する とおもいます。
但し、Aの雪面から1.5mに温度計の球部が来るように取り付けられるそうですが、
実際どうやって、雪面の高さに連動させるのでしょうか。
2......2 レーダーが出てくる問題では、「降水粒子の直径の6乗」という6の数字が出て
きますが、「距離の4乗」という4は、直感的に言って、ヘンです。
3......3 (d)が3番目の図になるべきことが、目安になるでしょう。
そうしなければ、温帯低気圧を持って来るべき順番がなくなります。
また、図2は、他に較べて、明らかに、北からの気流が優勢であることが
伺われます。
4......4 降水短時間予報では、雨雪判別は行っていないと思います。
5......3 こう言うフローチャートを暗記することはナンセンスです。
数値予報の工程をシッカリ理解しておけば、どのような
形で出題されても、対応可能になります。
6......5 Bも正解のように見えますが、もしBを選ぶと(c)前後の文章が、
日本語として「おかしい」文章になります。
7......3 (c)の文章は、いっている事が、明らかに矛盾しています。
8......5 収束することは考えられない。地上に吹き付けて、発散します。
9......2 すなわち、対流性の雲と想定しますが、自信がありません。
その他は、正しいようです。
10.....1 凡そ以下のようなストーリーが考えられます:
地上の渦へ向かうながれの存在→地上で収束→上昇気流→水蒸気凝結
→潜熱熱放出→温度上昇→圧力高くなり→大気が周りへ流れ出し
→中心部分は低気圧となり→下層で中心へ向かう気流が出来る。
11.....4 (d)の事実関係について、残念ながら知りません。
問題文によれば、境界層上部の風は、日中強いことが分かります。
しかし、夜間に弱まるか否かは、なんとも判断材料がありません。
しかし、もし、夜間に弱まると仮定するならば、境界層より上部
の自由大気の風(地衡風)と大きな風速シアーが、そこで発生する
こととなるでしょう。そういう話は聞いたことがありません。
又、エクマンスパイラルの風速ベクトル図を良く見かけますが、
上空に行くにつれ、風速が増しています。
よって、夜間に弱まる、との記述は誤記術と判断しました。
12.....4 式は忘れてしまいました。分母、分子に何を持って来るべきか、
幸い問題文に助けられます。2/5で計算しました。
13.....3 私にはお手上げです。気象を予測する技術とはかけ離れた
意識の問題だと思います。世の中変わったものだと言う感じがします。
いずれにしても、普通の社会人の知識として、以下の様に考えました。
現象が100%発現すれば、全てモト(Loss)が取れる。
現象がp%の確率で発現する場合は、Lossのp%がreturnされる。
したがって、return に見合うだけの掛け金(Cost)を支払うことは
或る意味合理的かもしれない。
このように考えれば、A社は30/100、B者は80/200の率が損益分岐点になるだろう。
14.....2 なんだか、易しすぎる問題ですね。
15.....4 アンサンブル予報という予想の方式・考え方でもって(b)の確率を見積もる
ことが、出来るのかどうか、はなはだ疑問に思います。
(d)が積極的に間違ってくれているので、(b)は正解と推定します。
(正解は、支援センター等の解答を見てください。)
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実技1試験解答予想と検討
(図を読み取るだけのような部分の検討は割愛し、一部のポイントのみ検討します)
問1
(1)
(2)B風は地衡風を考えるとした場合、問題は、気圧傾度力です。気圧傾度力を
増加させるような高圧部分がどこかにあるか探して見ましょう。
→千島列島に高気圧が存在し、大きな気圧傾度が生じているため、と考えられます。
問2
(1) 空気塊に働く力は、気圧傾度力、遠心力、コリオリ力
そして、地表面との摩擦力である。
(2) 天気図中の台風中心付近の”W”の記号に注目!
(3)
問3
(1) ζ=+171及び、"W"に注目!
(2) "W"の消滅、寒気の移流、前線の形成を読み取ればよいでしょう。
問4 有義波、と言うものを理解しておきましょう。
(1)
(2)
(3)
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実技2試験解答予想と検討
(図を読み取るだけのような部分の検討は割愛し、一部のポイントのみ検討します)
問1
天気図には、常日頃から慣れ親しんでおきましょう。特に、低気圧の発生初期から、
発達に至るような事例を自分で探して、どのように描かれているか、特徴を
発見してください。
問2
問3
(1) @風向変化は、低気圧Lの中心位置の変化を読み取ればよい。
A降水量予想は、前12時間予想値であることに要注意!
(2)
問4
(1) こう言う天気図記号は、自分で身につけるしか手がありません。
実際に書いて、「手に覚えさせる」とよいかもしれません。
さらには、自分で、練習問題を作ったり、実際の天気図を詳細に
読んでみる訓練も大事です。
(2)
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佐藤 元
E-mail:satoh@ny.airnet.ne.jp
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