気象予報士会埼玉支部主催さくら開花調査

★ソメイヨシノの見分け方  奥が深く、謎が多いソメイヨシノ!

上級編 ソメイヨシノを理解して実際の開花の様子を見よう

 中級編で、カンザクラエドヒガンヤマザクラオオシマザクラなどの桜との違いを解説しましたので、一般的にはこれ以上は特に気にする必要はないと思いますが、調査ついでにソメイヨシノをもう少しご理解下さい。そして、実際には桜の品種は非常に沢山あり、専門家でも似た桜を見分けるのが難しいほどの多様性があります。これを理解していただくにはソメイヨシノの起源を知ることも大切です。
 ソメイヨシノは一般的に江戸時代の終わりの頃、江戸染井村(現在の豊島区)の植木屋から、「吉野桜」と名づけて売り出されたのが最初であるといわれています。しかし、このソメイヨシノの起源については、はっきりと決着がついているとはいえません。桜の研究に力を注いだ竹中要博士(
1965年)による、オオシマザクラエドヒガンの雑種で、オオシマザクラエドヒガンが共に自生している伊豆半島で発生して、それを植木屋が伊豆から持ち帰ったものであるとする説が有力です。しかし、他にもソメイヨシノは雑種ではなく独立した種あるとする説や、オオシマザクラエドヒガンの単なる雑種ではなく、複雑なかけあわせで発生したとする説もあります。ソメイヨシノの形質を考えると、葉よりも花が先に展開するという性質はエドヒガンに、そして白色大輪の花はオオシマザクラの形態に似ているといえますので両者のかけ合わせによってできたと考えるのは自然かもしれません。

    
      花芽(かが)が膨らみ始める            ひとつの花芽の中から2〜4個のつぼみがでてくる

    
          いよいよ開花!               満開になると先に咲いた花から花芯が赤くなる

 上の写真はソメイヨシノの開花の様子です。よくご覧になりソメイヨシノの特徴をつかんで下さい。ソメイヨシノは葉がのびる前に咲き、つぼみの頃は少しピンク色ですが開くと微淡紅色〜白色になり、大きさは4cmほどで桜の花の中では比較的大輪になります。ひとつの花柄から通常は2〜4個の小花柄がのび、萼筒は筒状で上部がわずかにくびれるようです。小花柄から萼筒基部は黄緑色ですが萼筒の上部ほど赤味が強くなってきます。これらの特徴は、オオシマザクラエドヒガンの中間的な形質といえます。ソメイヨシノに似た品種としてはオオシマザクラエドヒガンの雑種のグループでイズヨシノアマギヨシノフナバラヨシノミカドヨシノ(昨年の開花調査ページに写真があります)ミシマザクラなどがあります。これらの種類を見分けるためには、それぞれの桜の特徴を十分に理解し、実物を見て知っていなければ難しく、私達が開花の調査をする時には区別することができないでしょう。わかる方がいましたら区別してほしいところですが同じとしても結構です。このような一番注意が必要な品種は、桜の樹種を保存しているような植物園や大規模なさくらの名所に見られます。また思いもよらない場所に、これらのソメイヨシノに似た桜が植えられている可能性もあります。桜の品種が分かるような標識がついている場合もありますので、分かったら対応して頂くということにして下さい。

 

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