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気象の現場では普通に使われ、しかしそのスジの用語辞典にはあまり載っていない言葉を中心に集めました。一部、死語になっている言葉もありますが、「歴史的遺産」として載せておきます。
  アイタイム(I time) 日本時刻のこと。東経0度を基準に地球を東周りに15度(時差1時間)ずつ、
A(15E)、B(30E)、C(45E)、・・・とアルファベットを振っていきますと、日本は135E=Iとなりますので、1500Iといった表記をし、「イチゴーマルマルアイ」とか「ヒトゴーマルマルアイ」などと読みます。[→JST、UTC]
  アッパー(upper) 高層観測データ又は高層天気図を指します。[→surface]
  アスマン 「アスマン式通風乾湿計」のことで、温度計2本、シェルター及び通風部から構成されています。温度計の1本は感部を水で湿らせたガーゼで覆い、湿球とします。気温と相対湿度を計測します。
  アメダス(AMEDAS) 気象庁地域気象観測データ通信システム(Automated Meteorological Data Acqusition System)の略語です。
  アメンド(amendment) 気象の世界では修正予報を指します。外れたのに放っておくと信用を失いますし、かといって修正予報が多すぎるのもまた信用を失うことになります。そのバランスが重要です。
  アールエスエム(RSM) Regional Spectral Model で、20kmメッシュ・領域モデル。
  アンチサイクロニック(anti-cyclonic) 高気圧性(北半球で時計回り)回転のことをいいます[→cyclonic]
  ウェファックス(WEFAX) 小規模受信局(SDUS)向けの気象衛星画像配信です。気象衛星センターで画像化し、地図を入れた画像にして、ひまわり経由で放送しています。
  エーエヌ(A/N) Alphabetical and Numeric character のことで、英字、数字、記号、カタカナで構成される1バイト文字データ。
  エスダス(SDUS) S-VISSER形式衛星画像データを利用しやすいように地図などをいれた画像にし、それを衛星経由で放送したものがWEFAX。これを受信するための地上局が小規模データ利用局(small scale data utilization station)です。直径1m程度のパラボラアンテナ、コンバーター、受信機、データ解析装置(パソコン)から構成されます。
  S-VISSR stretched-VISSRのことでエスヴィサーと読みます。VISSRはVisible and Infrared Spin Scan Radiometerの略語で可視赤外走査放射計のこと。気象衛星ひまわりに搭載されています。放射観測データを時間的に引き伸ばし、日時や衛星情報などを付加した後、M-DUS受信局向けに配信したものです。次期気象衛星(運輸多目的衛星)MT-SATからはHiRIDというフォーマットに変わります。なお、2005年3月からはより高分解能のHRITによる配信が開始されます。
  エトス(ETOS) 地震 津波監視システム(Earthquake and Tsunami Observation System)の略語で管区気象台及び沖縄気象台に設備されています。[→EPOS]
  エポス(EPOS) 地震活動等総合監視システム(Earthquake phenomena observation System)の略語です。[→ETOS]
  エマ エマグラムという種類の大気断面図のことです。
  エムエスエム(MSM) Mesoscale Spectral Model で、10kmメッシュ・メソスケールモデル。
  エルアデス
(L-ADESS)
地域気象資料伝送網(Local Automated Data Editing and Switching System)の略語で、管区気象台におけるデータの集配信機能です。「エルアデ」なんて言い方をする人もいます。L/Aという表記をすることもあります。[→C-ADESS]
  エルファクス(L-FAX) 地域気象ファクシミリ自動変換装置(Local Facsimile Automatic Exchanging system)のことで、オンラインで配信されている気象FAXはこれからの分岐です。
  外地(がいち) 古い予報屋の言い回し。日本以外の地域を指します。外国のこと。[→内地]
  空振り予報 現象があると予報したのに実際は無かった場合の外れのこと。雨が降るとしたのに降らなかった場合などです。予報の利用者は対策準備をしていたのに無駄になるケースです。しかし実害は一般に経済的損失のみで、人命に関わるような重大な損害になることはありません。「狼少年的外れ」なので、あまりにこの外れが多いと、予報利用者は対策準備をしなくなる恐れがあります。[→見逃し予報]
  寒気場(かんきば) 気圧の谷の後面で、寒気移流の場を言います。[→暖気場]
  官執時間(かんしつじかん) お役人が働いている時間のことを言います。
  気象事業者連合会 気象会社の業界団体でしたが、気象庁配信データ利用者協議会や気象事業振興協議会などの発足により、意味合いが薄れたため自然解散しました。
  気象事業振興協議会 気象審議会18号答申(1992年)を受けて、気象業務法の改正や気象予報士制度について意見を交わす場として、気象会社、マスコミ及びその他の気象関係団体によって結成されました。18号答申を受けて、気象予報士制度、分布予報や時系列予報の開始、気象業務支援センターの設立、気象庁産業気象課の新設などが実施されました。[→気象振興協議会]
  気象振興協議会 気象事業振興協議会、気象庁配信データ利用者協議会、産業気象利用者協議会の3団体を統合し、2001年12月に設立されました。気象事業の育成、振興、気象情報配信等に関して、会員による協議と協力を行い、また気象庁に対して要望等を行うことを目的にしています。
  気象庁国内二進形式格子点資料通報式 単に「国内二進」と言うこともあります。気象庁から配信されるバイナリー系データの中心的フォーマットです。1データサイズが8ビットに限らないとか、ランレングス圧縮がかかっていたりとか、専用のソフトウェアを作成しないと読み出すことはできません。
  北風フェーン 低気圧の通過後は寒気が流入するため気温が低下しますが、低気圧の中心が三陸沖に位置する時は関東南部は逆に高温となることがあります。北よりの風が越後山脈を越えフェーンを起こしているからです。[→南西風フェーン]
  逆位相 500hPa天気図の日本付近で北側に気圧の尾根、南側に気圧の谷が位置するパターン。関東以西の太平洋側を中心にぐずついた天気となります。
  キューエヌエイチ(QNH) 気圧計により航空機の高度を求めている場合の、気圧補正値(気圧規正値)のこと。航空機は離着陸の時、飛行場のこのデータにより正確な高度にセッティングします(不正確だと、雲から出たら地面すれすれだったなんて悪夢に!)。QNH2996(羽田の放送ではキューエヌエイチ/トゥーナイナー/ナイナーシックスと発音します)のように報じられ、これは29.96inHg(29.96×25.4=761mmHg)であることを示しています。
  95(きゅーごー)型 95型地上気象観測装置のことで、自動計測された気温や降水量などの電気信号を処理しデータの集計を行います。また通信機能も備えおり、上部官署へ通報を行います。
  グリッブ(GRIB) 「二進形式格子点資料気象通報式」で、国際間でGPVデータをやり取りする場合に使用します。気象庁からの配信データでは、GSMデータや海面水温などがこの通報式を用いています。
  計測震度計 加速度計を用いた自動震度計測器です。震度は、昔は気象台の職員が体感で決めていました。震度1とか2では「寝ていて気がつかなかった」ということもありました。この場合は揺れていても「震度0」となりましたが、今はそんなことはありません。
  検定 気象測器検定のこと。発表又は防災のために気象観測を行う場合に使用する気象測器に義務付けられている制度。検定は気象庁が行ってきましたが、2002年10月から(財)気象業務支援センターが行うことになりました。
  高指数 ゾーナルインデックス(ZI)が高い場合を言います。東西流型で天候が短い周期で変わります。[→低指数]
  高層気象観測指針 高層気象の観測方法を定めたもの(気象庁発行)。
  コーシンベーン プロペラ式(風車型)風向風速計のことをこう呼ぶ人がいます。本来、「コーシンベーン」は光進電気工業製の商品名です。
  国際地点番号 気象台や測候所につけられている世界固有の地点番号。たとえば東京は47662など。プロの気象屋は国内の観測所の地点番号はたいてい言うことができます(天気図を1,000枚以上プロットし、解析していますからイヤでも覚えます)。
  国際気象通報式 国際間の気象データの通報に関する取り決めを示すものです。気象データを読む場合に無くてはならないもので、気象屋必携の書です。
  コスメッツ
(COSMETS)
気象資料総合処理システム(Computer System for Meteorological Services)の略語で、C-ADESSとNAPSの二つの機能から構成されています。[→C-ADESS、NAPS]
  500(ごひゃく) 500hPaの高層天気図又は500hPaのデータを示します。「ちょっと500を貸して」と言われて、500円玉を出すとしかられます。
  コンター(contour) 気象の現場では等圧線、等高度線、等温線などの等値線のことを指します。「コンターを引く」などといった言い方をします。等圧線はisobarですが、あまりこの言葉を使う人はいません。
  サイクロニック(cyclonic) 低気圧性(北半球で反時計回り)回転のことをいいます[→anti-cyclonic]
  サーフェス
(surface)
地上天気図をさします。「00(まるまる)のサーフェスによれば」なんて言い方をします。[→upper]
  さんき(産気) 気象庁産業気象課のことです。
  シーアデス
(C-ADESS)
全国中枢気象資料自動編集中継装置(Central Automated Data Editing and Switching System)の略語で、国内外の気象データの集配信を行います。COSMETSのに含まれる機能。「シーアデ」なんて言い方をする人もいます。C/Aという表記をすることもあります。[→L-ADESS]
  地雨(じあめ) 主として乱層雲に伴い連続的に降る雨で、国際通報式の天気60番台の雨です。[→しゅう雨]
  シアーライン 風向、風速が急変している領域が線状に伸びている場所のこと。
  ジェイエスティー(JST) 日本標準時(Japan Standard Time)の略語で、I(アイ)タイムとも言う。兵庫県明石市を通る東経135度線上の時刻。UTC(協定世界時)より9時間進んでいて「+0900(JST)」のように表記する。[→UTC、Itime]
  ジェイエムアイ(JMI) 気象庁国際北半球気象無線通報。JMGのデータと組み合わせて、アジアからアメリカ西岸までの広域の天気図を作成することができました。1985年に停止されました。[→JMG]
  ジェイエムエイチ(JMH) 気象模写第一放送。いわゆる無線気象FAXです。かつての気象会社ではJMG、JMHがデータソースの二本柱でした。
  ジェイエムジー(JMG) 気象庁国際気象無線通報。昔の気象会社ではこれを受信して天気図等を作成していました。1994年に停止されました。[→JMI]
  ジーエスエム(GSM) Global Spectral Model の略語で、全球モデル。
  ジェット ジェット気流(jet stream)のことです。
  自記紙読み 昔は気温や風向風速計の出力部はたいてい自記紙となっており、この自記紙からデータを読み取っていく作業が大事でした。風向のように激しく変化するデータでも、ベテランはすいすいと読み取っていったものです。
  実況予報 「晴れ」と予報を出したのに雨が降ってきたので、「雨のち晴れ」と修正予報を出し、その後さっぱり晴れてこないので「曇り初めのうち雨」と修正予報を出すなど、実況に引きずられて修正予報を出す様を軽蔑してこう呼びます。
  指示報 中枢官署が下部官署に向けに出す、予報見解や注意事項。地台はこれを参考にし、その地域の予報等を作成していきます。
  指数則 風速は高度とともに増大しますが、基準高の風速に対するある高さの風速の比が、両高度の比の(1/k)乗になるというもので、何もデータが無い時にある高さの風速を便宜的に求める場合に使用されます。kは陸上では5くらい、海岸で7くらいのものです。例えば100mの高さの風速は10m高さの1.6倍(k=5)といった具合です。
  シップ(ship) 船舶観測データを指します。[→synop、temp]
  ジーティーエス(GTS) 全球通信システム(Global Telecommunication System)の略語です。
  シノップ(synop) 地上観測データを指します。[→temp、ship]
  ジーピーヴィー(GPV) Grid Point Value の略語で、数値予報モデルにおける格子点データのこと。
  しゅう雨 対流性雲に伴い断続的に降る雨で、国際通報式の天気80番台の雨です。雪の場合は「しゅう雪」です。[→地雨]
  主たる予報者 気象予報士制度ができる以前に、気象庁が気象事業者に気象予報業務許可を付与する条件にしていたもので、今の気象予報士に相当します。国家資格ではなく、試験もありませんでしたが、予報実務経験が必要でした。
  しょうちゃん書き 昔はエクセルなど無く、風向・風速階級別複合分布などの統計は、マス目にひとつずつ数をカウントしていきました。その際に「正」の字を書いていくことから、この作業のことをこう呼ぶようになりました。
  シーレックス(CREX) 「文字形式汎用気象通報式」で、国際間でコード化されたテキストデータをやり取りする場合に使用します。気象庁からの配信データでは、台風情報などがこの通報式を用いています。
  スパイラルバンド 台風を取り巻く渦巻き状の雲の帯。台風接近時にはこのバンドの通過時に強い雨が降り、通り過ぎると晴れ間が広がることもある。
  スポット予報 長期継続の予報サービスに対して、1回きりの予報サービスを指します。一発勝負なので、絶対当てなくてはなりません。外すと顧客は二度と利用してくれないことが多い。
  ゼットタイム(z time) ゼブラともいいます。東経0度を基準に地球を東周りに15度(時差1時間)ずつ、A(15E)、B(30E)、C(45E)・・・I(135E)・・・(途中QとXは使わず)・・・Y(15W)、Z(0W)とアルファベットを振ります。つまりZ時とは経度0度=世界時を示しているわけで、UTCと同じ意味合いに使います。06Zは「マルロクゼット(ゼブラ)」、15Zは「イチゴーゼット(ゼブラ)」または「ヒトゴーゼット(ゼブラ)」などと読みます。ゼブラは、フォネティック・コードのA(alpha) B(bravo) C(charlie) D(delta)・・・と思ったらどうやら間違いで、A(able) B(baker) C(charlie) D(david)・・・Z(zebra)からきているようです。[→Itime、UTC]
  ゾーナル(zonal) 上層が東西流場になっている場合を言います。
  ゾーナルインデックス(ZI) 500hPaで北緯30度帯と北緯50度帯の平均高度の差を取り、これを北緯40度のゾーナルインデックス(ZI40)と言います。偏西風の強さや蛇行の目安になり、寒暖の目安にもなることから、長期予報などではよく使われます。
  タフ(TAF) 短距離飛行用飛行場予報通報式(第一種飛行場)のことです。
  暖気場(だんきば) 気圧の谷の前面で、暖気移流の場を言います。[→寒気場]
  地上気象観測指針 地上気象の観測方法を定めたもの(気象庁発行)。
  地台(ちだい) 地方気象台のことです。
  注水電池(ちゅうすいでんち) 水に漬けると電力が発生するようになります。ラジオゾンデに使います。
  津村 気象庁1Fにある津村書店のことです。気象関係の本がいろいろとあります。
  テレタイプ(teletype) 受信した気象電報を印刷する機械です。今から15年くらい前までは、これが主流。その後、コンピューターで受信・処理するのが当たり前になりました。「モデル28」といった年代ものも20年くらい前まで使っていました。
  低指数 ゾーナルインデックス(ZI)が低い場合を言います。偏西風の蛇行が大きく=南北流型で同じ天候が継続しやすくなります。極東の指数が低い場合は、寒気が入りやすくなります。[→高指数]
  テーパリンググラウド(tapering cloud) 衛星雲画像で、風上に向かうにつれ次第に細くなっている形状の積乱雲域のこと。「ニンジン状の雲」とも言い、豪雨、突風などの激しい現象を伴うことが多い。
  デ利協 気象庁配信データ利用者協議会の略語。気象業務支援センターができる以前において、気象庁から配信データを受ける企業、機関が意見を集約し、気象庁と交渉する場として結成した団体。気象会社やマスコミ等がメンバー。[→気象振興協議会]
  天気図解析 地図上に記入(プロットと言う)された気象データを元に、等圧線、高低気圧、前線(高層天気図であれば、等高度線、等温線、トラフ)などを描いていくこと。昔は「1,000枚描いて一人前」と言われました。ラジオの気象通報による天気図作成は予報官の解析した天気図を模写しているだけなので、「天気図解析」とは言いません。
  天気テロップ 晴れのち曇りなどの予報文を100〜450までの数字で表したものです。例えば「晴れ時々曇り」は101、「曇り一時雨」202などです。
  転向点 人生のターニングポイントだなんてこの用語を使いますが、気象の世界では台風が北西進から北東進に向きを変える場所のこと。太平洋高気圧の軸付近が転向点になりますが、この付近では台風の動きが遅く予報は簡単ではありません。
  天相(てんそう) お天気相談所のことです。
  テンプ(temp) 高層観測データを指します。[→synop]
  東管(とうかん) 東京管区気象台のことです。気象庁と同じ建物です。
  透写台 上面がガラスで、下から光を当てる構造の台です。天気図を数枚重ねて低気圧などの動きを検討します。天気図解析には無くてはならない道具でした。
  突風率 平均風速と最大瞬間風速の比です。海岸や海上では1.2〜1.4、陸上で1.5〜2くらいです。風速が増大するにつれ減少する傾向となります。
  ドボラック法(dvorak) 気象衛星画像により、台風の中心付近の雲の形状から台風の中心気圧や最大風速を推定する方法。米国がドロップゾンデによる台風の飛行機観測をしなくなったので、今はこの方法で台風の中心気圧などを決めている。
  ドライスロット 低気圧の中心に向かって溝状に伸びている雲の少ない領域のこと。
  トラフ(torough) 気圧の谷のことです。[→リッジ]
  ドロップゾンデ 昔は台風の中心まで飛行機で飛んで行き、上空からこれを落として、中心気圧などを計測しました。今は気象衛星画像から推定しています。
  内地(ないち) 古い予報屋の言い回し。日本国内を指します。[→外地]
  ナプス(NAPS) 数値解析予報システム(Numerical Analysis and Prediction System)の略語。C-ADESSにより集められたデータをもとに、客観解析や数値予報を行い、各種GPVなどを生成します。COSMETSに含まれる機能。
  波の予報 対象海域の風で発生した波、別海域から到達する波が入り混じり非常に複雑になっているのが海の波。これを予報するのは並大抵のことではありません。フェッチだ、風速だ、吹送距離だといった簡単な図式で当たる予報は作成できません。逆に困難さゆえ、とてもやりがいのある予報と言えます。
  南高 南高型の気圧配置のことです。高気圧の位置は相対的なものですが、たいてい関東を基準に言うようです。[→北高]
  南西風フェーン 夏季に太平洋高気圧の周辺をまわる気流が南アルプス方面を越え、関東南部に至る流れになると、フェーンが発生し、関東南部では顕著な高温が続くことがあります。この状況の時は、地上のみならず850hPa付近でも高温部が形成されていることがあります。[→北風フェーン]
  二次(三次・・)前線 気圧の谷の後面で、第2波、第3波・・の寒気流入に伴って形成される寒冷前線です。突風など顕著な現象を伴う場合もあります。気象庁では解析しませんが「見えぬものでもあるんだよ」。
  西谷(にしだに) 500hPaの長波の気圧の谷が日本の西側にある状態。日本付近では、寒気は入りにくいものの、南西〜西南西の暖湿流場となりますので天気のぐずつくパターンです。「西谷傾向」とも言う。天気図を見る際に、基本場としてまず注目すべきポイントです。[→東谷]
  日本谷(にほんだに) 「本邦谷」と言う人もいる。500hPaの長波の気圧の谷が日本付近にあるある状態。谷が東進している時は天気は回復傾向ですが、停滞している場合は、日本上空に寒気が居座ることになり、夏であれば雷や豪雨、冬であれば日本海側の大雪の原因になります。[→西谷、東谷]
  年中無休 気象は24時間、365日無休です。盆正月に休みたいとか、土日祝日に休みたいとか、夜は眠りたいという人は気象屋に向きません。また台風とか大雨とか大雪の日は会社に行きたくありませんが、絶対に休むことはできません。気象屋の宿命と諦める他ありません。
  ノンリフト ノンリフトバルーンのことで、空中で浮きもせず、落下もしないように浮力を調節したバルーンを一定の高さのところで放球し、これを2点から観測して、気流(水平、鉛直)を調べます。
  パイバル パイロットバルーンのことで、水素やヘリウムを詰めた風船を放球し、セオドライトで方位角と仰角を計測し、上空の風向風速を求めます。
  85(ハチゴー) 850hPaの高層天気図又は850hPaのデータを示します。
  バファー(BUFR) 「二進形式汎用気象通報式(Binary Universal Form for Data Representation)」で、国際間でGPV以外のバイナリデータをやり取りする場合に使用します。気象庁からの配信データでは、ウィンドプロファイラなどがこの通報式を用いています。
  東谷(ひがしだに) 500hPaの長波の気圧の谷が日本の東側にある状態。日本付近では、北西流場となるので晴天になりやすい。[→西谷]
  ヒートロウ(heat low) 本州中部に発生する熱的低気圧のことです。
  ビラム ビラム型風向風速計のこと。風車型の風速計部と矢羽による風向指示部からなります。基本的には弱風用ですが、携帯に便利なので競技場やビル風観測などに使用されます。
  百葉箱(ひゃくようばこ) 古い気象屋は「ひゃくようそう」と読みます。日射や雨を防ぎ、かつ通風を良くした白塗り「よろい戸」式の収納庫で、気温計や湿度計を中に入れます。小中学校にはたいていありました。気象庁では今は使用していません。
  フェッチ(fetch) 海上(湖上)の波を予測する場合の一要素で、対象海域から風上側対岸までの距離、または風が吹き渡る距離のことを言います。実際には方向分散も考慮した「有効フェッチ」というのを使用します。
  部外分岐 気象庁以外の機関や利用者に提供されるデータ配信系統で、気象庁保有データの一部分です。気象業務支援センターを経由して配信されます。
  ブリーフィング(briefing) 気象の現場では、予報当番引継ぎ時の予報見解説明会を指します。プロ予報者同士が辛らつな意見をぶつけ合いますので、激しくかつもっとも重要度の高い場面です。見習い予報者が予報を勉強する際の最も大事な機会になります。
  プログノ(prognosis) 予想天気図のこと。本来は医者用語で病気の「見立て」のこと。
  プロット 天気図用紙に各地のデータを指定記号にて記入していく作業をいいます。今はコンピューターで自動で作画します。プロットが終わって、解析前の図面のことをプロット図といいます。昔は漬けペンでプロットしました。
  ポイント予報 気象庁予報が地域を対象としているのに対し、特定の場所について予報を作成したもの。有料予報はたいていこの方式。予報内容も量的に表現するのが一般的です。
  ボーガス(bogus) 台風モデルを動かす場合、一般的に台風の中心付近は観測データが少なく、そのままでは予測精度が低くなってしまうので、この付近の初期値を「それらしく」作ってやります。この擬似データのことをボーガスといいます。
  北東気流 広義には北高型の気圧配置に伴う北東風で低温と曇雨天が特徴。広域なものでは、オホーツク高気圧からの北東気流である「やませ」があります。一方、関東地方の人にとっての北東気流は、高気圧の中心が関東より北にある時に、季節にかかわらず出現する局地的現象のことを言い、この地域の予報を難しくする最大のものです。
  北高 北高型の気圧配置のことです。高気圧の位置は相対的なものですが、たいてい関東を基準に言うようです。高気圧の位置が多少北よりの場合は「北偏(ほくへん)」と言います。[→南高]
  ポーラーステレオ 平射図法で、北極に投影面を置き南極から投影した地図で、アジア天気図などの広域図で使用されています。
  マナム(MANUM) 気象データ・情報の放送変更通知のことです。
  マルマル(00) 00UTC、つまり日本時の午前9時のことです。この時刻は気象の世界では特に重要で、収集されるデータも多く、気象モデルの初期時刻になります。12(イチニイ、ヒトニイ)UTCも重要。「マルマルの天気図」といった言い方をします。
  見逃し予報 現象が無いと予報したのに実際はあった場合の外れのこと。雨が降らないとしたのに降った場合などです。予報の利用者は対策準備をしていませんので、一般に実害が大きく人命に関わる場合もありますので、もっともまずい外れです。[→空振り予報]
  メター 航空気象実況報(METAR報)のことで、空港での観測データです。
  有義波高 一定観測期間(20分くらい)の海面変動を計測し、その期間の平均水位を横切ってからまた次に横切るまでを1波として、各波の波高を求めます。その波を波高の大きい順に並べて上から1/3の波高を平均したものです。単に「波高」という場合はこの有義波高を指しています。
  ユーティーシー(UTC) 協定世界時(Universal Time Coordinated)の略語で、セシウム時計による秒単位の原子時が基準。天文学をもとにするGMTに変わる新しい世界標準時。3ヶ月に1度、1秒の補正を行う。気象の世界でもこの日時を用います。[→JST、Ztime]
  予報業務許可 気象庁以外の者が予報の業務を行おうとする場合は、気象業務法第17条の規定により、気象庁長官の許可を受けなければなりません。許可の条件は次のとおりです。
(1)予報業務の目的及び対象が存在すること (2)観測その他の予報資料の収集の施設があること (3)予報資料の解析の施設があること (4)前項のための要員を確保していること (5)警報事項を迅速に受けることができる施設及び要員を有すること (6)予報業務を行うに足る気象予報士が従事していること
  予報作業指針 気象予報作業の方法を定めたもの(気象庁発行)。
  予報的中率 たとえば雨の有無の予報の場合、雨有り予報に対して実況が雨有りなら当り、雨なし予報に対して実況も雨なしなら当り、それ以外のケースが外れとして、全予報回数の内、当り回数の比を求めたものが一般向けの的中率です(多分80%以上の数字になります)。しかし、雨は降らないことの方が圧倒的に多いので、「雨なし予報に対して実況も雨なし」は除外すべきです。これがプロの世界の真の的中率というものです。
  ラジオ体操第一 気象庁では15時になりますと、ラジオ体操が放送されます。やっている人を見たことありませんが・・
  ランベルト ランベルト図法で、地球に円錐をかぶせ(実際には北緯60度と北緯40度で地球に交差させます)、地球の中心から投影した地図で、レーダ図などで使用されています。
  リッジ(ridge) 気圧の尾根のことです。[→トラフ]
  類似天気図 予報のひとつの手法として、現在と似た天気図を捜し出し、その時の天候推移を参考にするということがあります。しかし、まったく同じ天気図は1つとして存在しませんし、地上は似ていても高層が違うとか、異なる条件が必ずありますので、似た天候になることはあっても同じ天候になることはまずありません。
  ワイブル関数 年間最大風速などの極値データの再現期待値統計計算などに用います。この計算で求めた確率をもとに、(数十年の観測結果しかないのに)「風速70m/sは120年に1回起こりうる強風」なんて言い方をします。
  ワーニング(warning) 気象警報と概況(WARNING AND SUMMARY)電報のこと。台風や顕著な低気圧の状況、強風域や濃霧域、その他の高低気圧や前線位置などが記載されています。
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