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2009年03月04日

第7回北関東支部栃木部会の報告

大門@日光です。

2月1日に栃木県那須塩原市の西那須野公民館で行った
第7回北関東支部栃木部会例会の報告を致します。

出席者は栃木県5人、福島県1人、千葉県1人で7人です。

この日は東海上で低気圧が発達して強風となったためJR
宇都宮線が一時運転見合せとなりましたが、昼前に復旧した
ようで時間通りに始めることができました。

内容ですが、
  ? 話題提供 根本由紀子さん
       「日本の冬、緯度の割りに寒気が流れやすい」
    東京、札幌、那覇と同緯度の地点の気温を比べると
   中国など内陸を除くと日本のほうが1月2月の気温が
   低い。ただし、3月になると中国の都市と同じか
   やや低いくらいになる。ヨーロッパで比べると東京は
   地中海、札幌でも南ヨーロッパの緯度に当たり冬の
   気温は東京、札幌がかなり低い。(ヨーロッパは
   うらやましい!)ということでした。また、アメリカ
   はシベリアの寒気と比べると弱い傾向にある。
   原因としてはアジアの場合はヒマラヤ山脈が東西に
   走っているためシベリアの背の低い寒気は山を越えられず
   高い山のない日本方面にだけ吹き出すためである。
   それに比べるとアメリカのロッキー山脈は南北のため
   そのようなことはない。
    それから、南半球に目を移すと高緯度に陸地がないため
   夏は気温がらず寒い。冬季は気温が下がらず暖かいが
   チリの南端のほうは強風帯にあたり体感気温はかなり
   寒い。
   以上のように2月5日に東京で行われたサイエンスカフェ
   を先取りした話しをしていただきました。
   
  ? 講演 宇都宮地方気象台 平松正道 技術課長 様
       「栃木県の大雨と災害」
     栃木県の災害(特に大雨)について話しをして
    いただきました。
     最近の大雨を見ると栃木県では那須豪雨をはじめ、
    新潟・福島豪雨、福井豪雨、東海豪雨など各地で
    起こっている。そのため栃木県では那須豪雨の影響
    の少なかった地域(那須以外の地域)では大雨を
    経験していないためあまり備えがない傾向にある。
    ただ、大雨は毎年どこかで起こっているため安心は
    できない。
     栃木県の大雨を見るとほとんどが台風のときである。
    雷雨は狭い範囲での災害はあるが大規模にはならない。
     栃木県は南東部は平地、北西部に日光から那須の
    山がある。時間降水量のは山のちょっと東の地域で
    多いが、日降水量はもう少し山寄りで多い。そして
    山の北西側にあたる旧栗山村では少ない傾向にある。
    これは雷雲は山で発生するが、雷雲が発達するのは
    ちょっと東に動いた頃のためである。また、台風の
    時は関東風が山に当たって降るため山の南東斜面で
    雨量が多くなる。
     それから、冬の雪は南岸低気圧で降る。山でも
    冬型で降る雪はあまり多くなく。南岸低気圧の雪
    の方が多い。   
       
  ? 天気図を囲む会
    2008年12月21日 関東の温度シアー
    この事例では12月20日から関東南部にはシアーが
   でき始め、最大は22日2時で所沢で20.0℃、隣の鳩山
   で4.7℃と15℃以上のシアーがありました。その後寒冷
   前線の南下と共に北東の風が入りシアーは解消し雨と
   なりました。
    温度シアーは放射冷却で冷えたところに南風が入った
   が関東の北と西には山があるため下層寒気の行き場所が
   ないため内陸の寒気は解消しなかった。寒気が薄いのは
   奥日光や那須、群馬県の草津の気温が平地よりも高い
   ことからうかがえる。
    その後北からは寒冷前線が南下するが、相当温位を
   よく見ると集中帯が2本あり、1本目は温度シアーに
   当たるものですが、降水はなく2本目の前線のときに
   降水があったのがわかった。2本の前線が解析の
   ポイントであった。
    
懇親会は西那須野駅前の「うる久」(うるひさ)で行いました。
出席者は7人でした。
懇親会は19:00頃終わりましたが、上り電車が19:42までなかった
ため、30分の待ち時間と宇都宮までの電車内では(私と根本さんで)
気候区分の話しと暑い話しと寒い話しがじっくりできました。

以上です。
Posted by at 11:46 午前
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