------------------------------------------------- 日本気象予報士会北陸支部 第15回例会・懇親会 日時: 平成20年2月16日(土) 13:00-17:00 場所: 金沢市中央公民館彦三館 2階・第二会議室      (金沢市彦三町1丁目15番5号) 出席者:      富山県・・・由比、藤田、門木、長谷川、金山、             斉藤、上田、笹倉、山本      石川県・・・榎本、谷、中村、小林、香田、             私市、北村、平松    以上、17名(順不同:敬称略) 内容: 1.はじめに  北陸支部長・私市さんの開会挨拶では、前回の例会(11月)以降の 北陸の気象経過(初雪、寒波など)をお話頂いた後、2008年1月19日に 私市さんが撮影した航跡雲(飛行機雲)の写真を見せて頂きました。 私市さんのご経験から、飛行機雲の発生は軍事上(!)重要視されたと、 ひと言ありました。 2.話題提供 (1)北村守次さん(白山市)「日本の酸性雨問題〜25年を振り返って〜」  今年3月に定年を迎える北村さんが長年にわたり携わってこられた 大気環境のお仕事のうち、今回は酸性雨問題についてお話下さいました。 1)酸性雨の基礎知識、2)酸性雨調査法、3)日本の酸性雨の歴史と現状、 4)石川県の酸性雨の状況、5)私の酸性雨研究(昔話)、6)東アジアの 酸性雨の現状と課題、というお話の中で、環境問題としての酸性雨現象 の捉え方、酸性雨観測機器の写真、石川県の酸性雨の季節変動、 酸性雨の観測体制などをご説明下さいました。日本では全国的に 欧米並みの酸性雨が観測されていること、日本海側の地域では 大陸に由来した汚染物質の流入(中国・長江以北の石炭燃焼の 影響)が示唆されること、そして現時点では酸性雨による植生衰退等の 生態系被害や土壌の酸性化は認められないこと、すなわち、 石川県の海岸の松が枯れているのは酸性雨ではなく他の原因 (松くい虫など)であろう、とのことでした。 (2)長谷川健さん(富山市)「観天望気の現代風自家用呼称 −その紹介と字解−」  長谷川さんが定義した言葉について、その背景物語と共に 面白くご紹介頂きました。その言葉とは(一部抜粋)、 そら・する【空する】(1)観天望気のこと。(2)気象予報士会の例会や 懇親会に参加すること。 そら・とも【空友】気象という共通項で集まる仲間のこと。 気象予報士会会員のこと。 そら・べん【空勉】(1)気象予報士試験を目指した勉強を指す。 (2)本格的な気象学は「そらがく(空学)」、空学を究めることは 「そらどう(空道)」と呼んで区別する。 以上の用語の使用は自家用目的に厳しく制限されているそうです(笑)。 (3)榎本英樹さん(金沢市)「気象はじめて物語(その1)」  気象学の歴史について造詣の深い榎本さんが、気象学百年誌に ついてお話下さいました。気象学の主要トピックの20年周期説や、 気象の黎明期(目視観測の時代:天気俚諺)、草創期(測器発達の 時代:気圧と天気の関係の発見)、天気図の時代(1:気象力学・ 大気熱力学の確立、2:国際協力の時代、3:高層観測の時代、 4:雲物理学の発展)、数値予報の時代へと、その時々に活躍した 気象学者にスポットを当てた解説をして下さいました。 (4)金山ひとみさん(富山市)「晩秋のヨーロッパ、雲の写真」  昨年の晩秋に気候療法士の研修でドイツ・バイエルン州の ガルミッシュ・パルテンキルヒェンへ出張された金山さんが、 その時に撮影した雲の写真や街の写真を紹介して下さいました。 山の上から見下ろす雲海は非常に美しく、空には多くの飛行機雲 もある(近くのミュンヘンに大きな空港がある)のが印象的でした。 (5)谷清勝さん(金沢市)「竜巻注意情報」、「福井港の水上竜巻」  気象庁が今年3月から発表する、竜巻などの激しい突風に注意を 呼びかける新しい府県気象情報(竜巻注意情報)について、その 概略をお話頂きました。また、谷さんが2003年10月18日に目撃した 福井の竜巻について、当日の気象データ等を検討しながら、解説して 下さいました。竜巻注意情報は雷注意報を補足する情報として、 竜巻、ダウンバースト等の激しい突風から身の安全を確保して 頂くことを目的として発表されます。ただ、観測用のドップラーレーダーが 北陸に無く、福井のレーダーも当分の間はドップラーレーダー化されない など問題点のあることが、参加者から指摘されました。 (6)中村繁之さん(金沢市)「新潟県の雪冷房施設−新潟支部 見学会参加報告」  昨年9月に新潟支部が実施した見学会に参加した中村さんが、 ほくほく線新座駅の隣にある小嶋屋(そば処)の雪室、 (独)森林総合研究所の十日町試験地、十日町市にある昔の雪室、 そして小千谷市の雪冷房住宅を見学した模様を、その時に撮影した 写真で紹介して下さいました。 3.業務連絡事項 (1)支部連絡会議参加報告 昨年12月に東京で開催された支部連絡会議に参加した中村さんが、 その時の議題(決算報告・活動計画、てんきすと、気象技能講習会、 支部のあり方・組織整備)について報告して下さいました。 (2)今後の予定 次回の第16回例会は、4月19日(土)に富山県内で開催予定です。 詳細については、決まり次第お知らせ致します。 4.懇親会 17:40〜20:00  場所: 「座・座」 (別院通り商店街にある居酒屋)  参加者:14名  例会の話題に加え、北陸で採れた新鮮な食材を肴に、 大いに飲みかつ語り合いました。これを「空友と空する」 と言います(2.話題提供の(2)を参照のこと)。                      (文責:平松) -------------------------------------------------------