長期予報利活用研究会 第37回例会

日 時:2012年1月8日 13:00〜17:00
場 所:中央区月島区民館 2号室和室
内 容:
@話題提供
 (1)「GPVによる全球平均気温」
                大門 会員
 2008〜2011年全球GPVデータを基にして、世界の気温変動を緯度別、時系列にまとめた。シベリアや南極大陸など陸地が多い高緯度帯では年較差が大きいが、海が多い南半球高緯度帯では年較差が小さい。また、世界の平均気温は陸地や海水の影響を受けて変動している。それから、高層の気温についても同様に求め、変動する様子や成層圏の変動も時系列にグラフにした。学会で発表できるよう準備してほしいとのコメントがあった。

 (2)「2012雨雪判定のお願いと旅行用天気情報(北京)について」
                中山 会員
 関東地方周辺の雨・雪の情報を今年もまとめたい。GoogleMapを活用して記号を落とすようにする。なお、入力を簡単にできるよう、積雪や凍結などの情報も記号を考えたいので、できるだけ多くの会員から情報を得たい。関東地方の降雪メカニズムの資料になるので協力してほしいとのコメントがあった。
 北京では7日に珍しく雪が降ったが、中国気象局の「中国天気」というサイトから具体的な情報を得ることができる。

 (3)「最近の温暖化傾向と年間気温変動」
                内山 会員
 東京の気温の変動を富士山の気温変動を、積算し比較してみた。その結果、1)東京が上昇・富士山も上昇 2)東京が上昇・富士山は横ばい 3)東京横ばい・富士山横ばい、などという変化を時系列で追うことができた。

 (4)「この夏の3か月予報と実況」日経新聞に掲載した予想より
                藤井 会員
 3か月予報資料を基にしてこの夏(7,8月)の暑さについて日経新聞に一部が掲載された予想と実況とを比較したところ、3か月予報資料はよい精度で予想を出していたことが分かった。7月は暑さが早く訪れ夏らしい暑さとなったが、8月は大気の状態が不安定だった。

2.季節予報検討会
                酒井 会長
 3か月予報など季節予報は大気海洋結合モデルにより作成されているが、海洋の温度変化の予測とそれにともなう大気の予測がアンサンブル手法によって行われ、さらに初期値をずらしで計算されて予想資料が作成されている。2010年夏はエルニーニョが終息しラニーニャが始まり、インドネシア付近の海洋で対流活動が活発化したことにより、太平洋高気圧が西に偏って日本付近を覆ったので暑さの厳しい夏となった。
 3か月予報資料の実況図・予想図の見かたについて、具体的に教えていただいた。また、支援資料を基にして3か月予報データを解釈し予想を組み立てることが大切である。

 この2月の東日本太平洋側の気温予想について、グループに分かれて検討した。
@根本さんチーム  40:40:20
 北半球予想図(7)の海面気圧予想で強い西高東低であり、各種時系列(9)のT850偏差(東日本)から並み〜低いのメンバーが多い。しかし2月は1月よりも日射が強くなるので、最高気温が高くなる日を期待したい。

A中山さんチーム  40:40:20
 北半球予想図(7)の500hPa高度偏差図から日本付近は負偏差に覆われ、冬型が強まり、日本海側では雪が多く、太平洋側では晴れの日が続きやすい。

B大門さんチーム  30:40:30
 北半球予想図(7)の海面気圧予想によると、負偏差が日本付近に近いので低気圧が日本付近で発達しやすい予想となる。またシベリアの高気圧は1月は強かったものの2月は弱まる傾向がありそう。

C梅野さんチーム  40:40:20
 ラニーニャ傾向はまだ続き、海洋大陸付近で対流が活発な傾向が継続する。東経90°付近でジェットが北上するので東谷傾向となり500・850hPaとも負偏差領域に入るので、日本付近に寒気が降りて来やすくなる。南岸低気圧は発達しにくい。

 それぞれのチームの発表について酒井会長からコメントをいただきました。