◆ ◇ 長利研第36回例会 ◇ ◆

日 時:2011年11月6日(日) 9:15 〜 12:00

場 所:中央区勝鬨区民館 和室

内 容:
1.話題提供
 @「はじめての航空気象」  庄司 桂一郎会員
航空機は風に向かって着陸するが、羽田では南風→北風の変化で滑走路の運用が変わる。運用の変更には15分ぐらいかかる。雷雨で着陸できないときもあり上空で待機しなければならない。そのため着陸予報を出している。ドップラーライダーという半径10km以内のエアロゾル粒子からのエコーで風向を調べる観測器材や、ドップラーレーダーという半径120km以内の降水粒子からのエコーで風向を調べる観測器材により、シアを見つけ出している。

 A「フランスの気候」     根本 由紀子会員
北緯40〜50°に位置し国土の80%が平野であるフランスだが、ケッペンの気候区分によると北部は西岸海洋性気候(Cfb)、南部は地中海性気候に分類される。北部の夏はパリに比べ低温で大西洋側では降水日数が多い。ノルマンディでは気候の特性を生かしりんごの栽培が盛んである。マルセイユなど南部はパリより気温が高く、地中海側の夏は高温乾燥、冬は雨天がちである。フランスの内陸部に位置するボルドーはパリより最高気温が高く最低気温が低い。

2.季節予報検討会
  「この冬の寒さを予想しよう」
3か月予想資料を基に、東日本太平洋側のこの冬(12月・1月)の気温予想を3つのグループに別れて検討した。

◎Aチーム・・・(12月)20:40:40  (1月)30:40:30
海面気圧予想偏差によると12月は大陸の高気圧があまり発達せず850hPa気温予想でも関東地方は正偏差にあたっているので12月は気温は平年並みかやや高めに予想する。しかし、1月は大陸の高気圧が発達し寒気が日本付近に南下しやすくなる。

◎Bチーム・・・(12月)30:30:40  (1月)40:30:30
今年はラニーニャ現象の予想で寒気が入りやすい気圧配置となる。850hPa気温予想は12月はまだ平年並みかやや高いほうだが、1月は低いほうへ向かい下旬はさらに下がる可能性がある。

◎Cチーム・・・(12月)30:50:20  (1月)40:40:20
今年は12月から500hPa高度の負偏差領域に入って冬型になりやすく、1月は850hPa気温予想の低いほうに入る。12月はアリューシャンの低気圧があまり発達しないが、1月は発達しやすくなり冬型が継続する。

なお、この冬はラニーニャ現象となる見込みで(気象庁では11月10日発生を発表)、西太平洋熱帯域では2月にかけて海水温が上がる予想となっている。このため200hPa速度ポテンシャルが海洋大陸付近で発散偏差となり高気圧性循環の場となる。昨年・一昨年と北極振動が予想よりも大きくマイナスとなったが、今後の動向を見守りたい。