■□ 第33回長利研例会報告 ■□

日 時:2011年4月24日(日) 9:15〜11:40
場 所:東京文化会館(上野)  小会議室1

話題提供:

1.アメリカ合衆国各地の気候差    中山秀晃 会員

旅行部会では国内旅行に加えて海外旅行のお天気情報も開発中。今回はその第一弾としてアメリカ合衆国各地の気候差について発表した。日本で生活している旅行者にとってアメリカ各地の気候気象は未知の領域。服装は何を着たらよいのか?せっかくならば旅行先のベストシーズンに出かけたいもの。そこで今回はアメリカ各地の気候区分、雨温図による比較、気象記録クイズ、東京、那覇とアメリカ各地の平年値比較、天気図比較などを通してアメリカ合衆国の気候気象の特徴に迫った。

冬のニューヨークの寒さと梅雨のない6月〜7月。マイアミ、ヒューストン、ラスベガス、ホノルルの比較による暑さの質の違い。トルネードやハリケーンが発達し易い気圧配置などアメリカ合衆国のお天気はとても奥が深い。
例会ではアメリカに長期滞在した方にもご意見を伺うことができて大変有意義な時間となった。今後はさらに突っ込んでアメリカ合衆国各地の気候気象を調べ、楽しく役に立つ海外版お天気情報を開発していきたい。

2.この冬の傾向と北極振動      藤井  聡 会員

この冬は日本付近が当初から負偏差予想で寒くなる予想だったが、12月はアリューシャンに強いリッジ場が形成され平年より気温が高かった。しかし、北極振動の負のパターンが現れ欧米では気温が非常に下がりイギリスでは100年来最低の月平均気温となった。1月は日本列島にも寒波が押し寄せ、西日本中心にかなり寒い冬となった。2月は北極振動の正のパターンとなり、気温が上昇した。
これらを、500hPa高度平均図偏差(3か月・1か月)や、東方海上高度・東西指数・850hPa気温偏差・海面気圧偏差の見かたを伝えながら、今期間の推移を追った。季節予報は初期値によって変化するので、予想図がどう変化するのかフォローしていて見ていく必要がある。


3.今年の暑さの予想検討       藤井  聡 会員

4月11日初期値の7月の予想を長利研のメンバーによって行った。チームごとに分かれ、この中で季節予報資料の見かたを互いに教え合ったり気圧配置を検討したりした。特に、電力需要が懸念される7月の気温(東京など東日本)について確率予報を出してみた。その結果、

 A 20:30:50  B 20:40:40  C 30:30:40  D 30:30:40 E 40:40:20

6月後半〜7月前半にかけ沿海州がリッジ場となってオホーツク海高気圧から冷たい空気が南下する可能性があり、850hPa気温推移でも気温が下がる時期もありそうだが、7月は西日本中心の高偏差確率(+)が覆い東日本では気温が上がる可能性がある。ただ、本州東海上が負偏差予想で寒気の南下による影響も考えられる。予想期間にはラニーニャが終了し日本の夏の暑さに関わるフィリピン東方海上の海水温がどう変化していくか注目したい。