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気象実験(#60)

実験の様子を写真で紹介します。

Originated 2008-08/08 Last Updated 2008-08/30,09/30,10/24,11/10,12/25, 2009-2/02, 4/21
EXPM60  雲の高さを測る (一人で観測した事例:レーダー画像利用例ウェブカメラ利用例)
EXPM61  間欠泉を作る
EXPM62  糸巻き車を作る
EXPM63  UFOをとばす
EXPM64  渦の下の圧力 (円筒容器、ビニールチューブ、棒、水)
    (回転流体下の静水圧実験)   
EXPM65  平板斜面上のコマの運動 (平板、コマ)
EXPM66  ビー玉でビリヤード(ビー玉、割りばし、テーブル)
EXPM67  紙風船 (紙風船)たたくと膨らむレトロのおもちゃ。
EXPM68  ブーメラン (コンビニ弁当の蓋+ラベル)揚力や角運動量保存の法則が背後に控えている。
EXPM69  消える雨 (ドライアイス、ビーカー、霧吹き、水)雨は落下中に蒸発し、見えなくなることがある。

#600 実験60    目に見える雲は、いったいどれだけの高度に浮かんでいるのだろうか。    その雲の下にはどんな街があるのだろうか。    こんな素朴な疑問を持ったことはありませんか。    私は、なんとかして、雲の高さを測りたいと思い、友人たち或いは家族の    応援を求めて、時々実測します。デジカメを利用して、雲の位置を特定する    こともあります。    特に、雲が一定の高度と速度で流れているときには、ひとりで実測できる    可能性があります。以下実測例を含めて、実験の様子を示します。 #601 実験タイトル=雲の高さを測る #602 実験の狙い=雲の高さを実測体験する #603 実験装置の製作 and/or 準備 ・地図、分度器    ・文房具の分度器は小さいので、正確な角度を求めるため、大きな分度器を     自作しておきます。    ・さらに、高度(すなわち仰角)を求めるには、「確かな」鉛直あるいは水平     を必要とします。そのための装置も自作しておくとよいでしょう。    ・目標物への仰角を定める器具の自作例→下の写真を見てください。     #604 実験の実行と結果 ・自宅で雲の高度と方角(この実験のときは西)を分度器で計測する(高度α=29°)    ・1KM程度離れた地点で、雲の方角(同じく西)を分度器で計測する(高度β=13°)    ・地図上で自宅(A点)と、もう一か所の観測点(B点)を定め、AB間の距離Lを求める(L=1200m)    ・ABの直線は計測対象とした雲位置を含み同一直線上にあるとする。    ・幾何学の問題です。雲の高度H=Lx(tanαxtanβ)/(tanα-tanβ) となります。    ・小学生にとってはまだ習っていない問題ですが、演算はごく簡単です。    ・H=1200x0.554X0.231/(0.554-0.231)≒475m となります。 ・計算のための数表です。(角度αのときのtanαの値を求める)
α tanα

4 0.070 6 0.105 8 0.141 10 0.176 12 0.213 14 0.249 16 0.287 18 0.325 20 0.364 22 0.404
α tanα

24 0.445 26 0.488 28 0.532 30 0.577 32 0.625 34 0.675 36 0.727 38 0.781 40 0.839 42 0.900 44 0.966
計算が面倒な場合は、こちらでも計算できます。 私のHPにおける計算は、JavaScript and/or Java でプログラミングしてあります。 このためIEによって画面がセキュリティー上ブロックされることがあります。 警告メッセージが表示された場合、ブロックを解除して進んで行ってください。 観測対象物や観測目的に応じた計算を用意しています。
  2.の計算では、観測値に誤差が入っていることを想定し、正しい観測値を推定   する方法を提供しています。すなわち、観測2地点からの雲の高さを算出し、   高度の差(高度誤差)を算出していますが、高度誤差=0Kmになれば、観測値は   正しかったことになります。そこで、高度誤差が0になるように、入力した角度   を試行錯誤的に変えて、正しい観測値を推定することができます。      3.(飛行機雲)および4.(積乱雲)の計算においては、それぞれの画面を   クリックすると関東地域の地図を表示します。雲がどの地点の上空にあるか 推定する助けになります。観測地点A(任意の地点)を画面中央に表示したい   場合、ドラッグして地図を移動することもできます。 #605 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・観測地点Bは決まった地点をあらかじめ設定しておき、自転車で数分程度以内に     行くことができれば、観測誤差は少なく、雲の高度Hがもとまるでしょう。 #606 実験の解説 and/or 関連実験    ・子供たちに対しては、山とか建物の高さを測るためにはどうすればよいかの     話しをしてあげましょう。そこから「測量」とか「幾何学」と言った人類に     とって必要な学問が発達してきたことを話しましょう。 ・他にも一人でできる実測方法がいくつかあります。たとえば、     旅客機の飛ぶ高度(約1万m)や山の高度(近くの山や遠くにある高い山)と     高度を比較してみる、     気象庁のウィンドプロファイラー画像から雲の流れる速度を推定できる場合、     気象庁のレーダー画像を利用して、雲の位置を推定できる場合【実例準備中】     ライブカメラを利用して雲への仰角や方位角を推定できる場合【実例準備中】     などです。 ・精密機器による観測ではないので、いずれの方法も誤差が生じます。     したがって、おおよその高度を求める上では手軽な方法です。 ・関連情報の提供:     真北の決定→国土地理院の地図で真南を求め、その180°反対側。     真南は、時計の短針を太陽方向にあわせ、     時計の文字盤の12時と成す角度の半分の方向が真南になる。     太陽の南中時刻→北半球において、太陽の中心がその地点の子午線を通過する時刻。    (一般的には、「正中」と言う。)     磁北→真北基準で、4〜10°北北西方向へずれている。この角度を「偏角」と言う。     日の出入り→大気差(35分8秒を含み)、太陽の上辺が地平線に一致した時点。     位置の計算→国土地理院の地図を表示する。地図をクリックすると、北緯・東経が数値で表示される。      角度の計算→緯度・経度の数値を代入して→方位角、距離を求める。     時刻の計算→国立東京天文台(緯度・経度を入力して、その地点での日の出入り、南中時刻を求める。)     地図や方角の話→地図や方角などの用語解説     旧東京天文台位置(港区麻布台2−1)→北緯35°39′16″.0、東経139°44′40″.9 #607 【追加実験、考察等】    ・二人で観測する場合には、雲の高さを測る を見てください。    ・二人で観測する場合の最も大きな問題は、離れた2地点から同一の雲を     同時に見ていることを、いかに確定するかにあります。    ・夏の夜の風情、花火大会。自宅と会場の距離は既知であるとすれば、     花火が開いた時の仰角を測定できれば、花火の高度が算出できますね。    ・東京タワーとか、富士山の高さも高度算出ができますね。     雲も建物も、建築物もすべて同じ算出の論理を適用できますね。     そういえば、同じ論理で、自分の部屋の中でも天井の高さを算出できますね。    ・下の写真は、2008年8月7日、自宅から撮影した60Km遠方の房総半島上の積乱雲です。 この積乱雲の位置はレーダー画像で特定できました。(ししおどしの実験31でも言及) 自宅からの積乱雲への仰角を測定したところ≒12°でした。    ・積乱雲の高度=60*tan(15°)=60*0.21=12.6Km、と算出できました。        
発達中の積乱雲、仰角12°
気象庁のレーダー画像です、距離≒60Km
   ・下の写真は、自宅と羽田から同一の雲を(2008Sept03,14:22JST)撮影したものです。    ・羽田の写真は、インターネットに公開されている「東京ストリートチャンネル」の画像を 事前了解のもと、ここに掲載させていただきました。     計算の準備     @自宅での雲への方位角、=E0+4.0°、雲の仰角、=5.2°     A羽田での雲への方位角、=E0+0.0°、雲の仰角、=7.0°      B自宅〜羽田間の距離、=18Km  (ただし、E0=90°)の条件で、計算できます。     関連する計算を再掲します。     位置の計算→国土地理院の地図を表示する。地図をクリックすると、北緯・東経が数値で表示される。      角度の計算→緯度・経度の数値を代入して→方位角、距離を求める。    ・積乱雲の高度は、A点からの仰角を使用したとき10.3Km。B点での仰角を使用したとき11.9Km、と算出できました。     このときの積乱雲の位置は、房総半島九十九里浜の東の海上にあり、自宅から≒110Km離れていると推定されます。     (下記計算画面参照。なお、観測した仰角や方位角は今後さらなる精緻な検討により変わる可能性があります。) 上述(#604)の計算画面の選択においては、こちらの計算方式を採用します。    
自宅で撮影、
羽田からの画像
   ・このときの計算画面です。     先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#610 実験61    間欠泉を作りたいと思っていました。    間欠的に圧力を発生させる仕組みをいかに作るか、そこがポイントでした。    結局、これまでに行ってきた実験を組み合わせて行うのが、最も楽に    できる方法である、と気づきました。 #611 実験タイトル=間欠泉 #612 実験の狙い=実験を組み合わせて、新たな実験方法を創作する
ヘロンの噴水。ししおどしのA部からヘロンの噴水の
A部に水が注がれ、D部から水が噴出します。
ししおどし。このししおどしがカタンとなった時に、水が、
ヘロンの噴水のA部に注がれるように装置の位置関係を設定します
#613 実験装置の製作 and/or 準備 ・
実験14、ヘロンの噴水実験31、ししおどし。を組み合わせる。    ・このとき、ししおどしおよびヘロンの噴水装置のA部を高い位置に、ヘロンの噴水装置B、C(D)を低い位置に配置します。 ・ししおどしの設置位置は、床上1m以上にすると噴水がそれなりに高くなるでしょう。 #614 実験の実行と結果    ・給水は、高所に設置した水溜めからサイフォンで水を導き、ししおどしの注水部へ流し込む。    ・一定の流速で流出する水がししおどしに一定量たまると(通常一定時間経過後)、ししおどしのA部が傾き、     水がヘロンの噴水装置に流れ込む。    ・こうして、【一定時間ごとに】噴水が生じます。 #615 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・ヘロンの噴水装置のA部をできるだけ高く配置すると、噴水が高くなります。    ・噴出した水を捨てずに再利用するため、洗面器などで噴水を受けましょう。 #616 実験の解説 and/or 関連実験 ・ししおどしの装置は、間欠的に水を供給する機能を持ちます。    ・ヘロンの噴水装置には間欠的に水が注入され、同時的に水を噴出します。    ・この両者の連携プレーで「間欠泉」の出来上がりです。    ・この実験は、本物の間欠泉をシミュレートしていると考えられます。    #617 【追加実験、考察等】 ・この実験は、それぞれ固有の目的を持った実験を組み合わせて、新たな実験が可能となった例です。     (#317、でこういうものを作りたい、と願っていた現象を作り出すことができました。)     ・実験装置全体の配置を示します。
間欠泉1(全景)
間欠泉2(ししおどしが傾いたとき)

間欠泉3(間欠的噴水)
     ・間欠泉の噴出時間間隔は、高低差、ボトルをつなぐチューブの口径、ボトルの容積、支点の位置、     ボトル内にもともと入っていた水量、ボトル内の気圧、管路の抵抗、水の表面張力など、さまざまな     要因が影響を与えると考えられます。    ・装置を精密に作っていないので、漏水があったりしました。     このためか、ししおどしからの注水タイミングが本来規則的であるはずのものが、やや乱れています。     ・間欠泉におけるししおどしからの注水および、噴水のタイミングチャートを作成してみました。実測です。      (1)噴水の最中にししおどしからの注水があれば、噴水は継続する。      (2)噴水終了後、次の注水開始まで時間があくと、次の注水、その次の注水、さらにはもうひとつ先の         注水があっても、噴水が起こらない場合がある。    ・このように、不規則的な噴水現象を呈する間欠泉が見られた。    ・すなわち、噴水のタイミングは注水のタイミングに同期していませんが、何回かの注水ののち、噴水がありました。     しかし、別の同様装置で、実験したところ、今度は、注水と噴水が同期しました。     (この相違の理由は追試および検討中です。)    ・なお、断定的なことは何も言えないが、ヘロンの噴水装置における(中央の)ボトルBの噴水時の内圧は、     注水時点の内圧に比較して約30hPa高くなっていると推定される。     (この値は、別途のボトルを使って、噴水時の水柱を実視した結果です。)     先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#620 実験62    昔懐かしの糸巻き車を思い出しながら再現してみました。    小学校低学年の児童に、試行錯誤することや工夫することの体験を通して、うまく動くことを    体感してもらいます。そして、糸巻き車が動くメカニズムを考えてみましょう。    この実験は、家庭でお母さんがお子さんに見せてあげてもいいですね。 #621 実験タイトル=糸巻き車を作る #622 実験の狙い=ローテク(Low Tech.)カーを工夫しながら作ることを体験する
糸巻き車(走行中)
糸巻き車の反対側
糸巻き車(吊り下げた状態です)
ゆるい坂道を登る糸巻き車
>
#623 実験装置の製作 and/or 準備 ・糸巻き、つま楊枝、輪ゴム #624 実験の実行と結果 ・糸巻きの穴の中に輪ゴムを通します。    ・輪ゴムを写真のようにつま楊枝に通します。    ・長いほうのつま楊枝を数回回転し、輪ゴムに「撚り(より)」を与えます。    ・机の上におくと、輪ゴムの撚りが戻りつつ、糸巻き車が動き出します。    ・ゆるい坂でもけなげに上って行きますが、、、途中で息切れすることもあります。 #625 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・撚りをかける回数は欲張らず、多くしないこと。    ・つま楊枝の一方は、必ず床に届くように長さを調節すること。    ・つま楊枝の他方は。糸巻き車の進行の障害にならないよう、車の直径以内の長さにすること。    ・簡単な実験です。車がうまく動かないことがあります。原因を考え、いろいろ工夫してみて下さい。 #626 実験の解説 and/or 関連実験 ・輪ゴムに与えられ、蓄えられた弾力のエネルギーが解放されつつ、車の移動に使われます。    ・この実験は、気象とどんな関係があるのでしょうか。無関係に見えますね。     糸巻き車が走っても、雨が降ることとは関係ありません。この実験の表面的な姿の裏には、     重要な原理原則がひそんでいます。     それは【エネルギー=力】ということであり、【力=エネルギー】ということです。    ・例えば、台風の風のエネルギーは建物やクレーンなどを倒壊させる力を持っていますね。    ・糸巻き車のエネルギーは輪ゴムに蓄えられ、放出されました。     台風の風は、高い気圧(エネルギーレベルが高い)の空気が低い気圧(エネルギーレベルが低い)の空気     の方へ移動するとき、風になって、途中にある建物やクレーンにあたって、倒壊させる力となります。      (ふくらませた風船から空気が噴出するとき、高いエネルギーが解放されることと同様です。)      ・糸巻き車の実験はやさしいですが、そこでみられる現象の背後には自然界の原理原則があるのですね。  #627 【追加実験、考察等】 ・糸巻きがなければ、円筒形のものを探して糸巻きの代わりにして、実験してください。    ・車の前進に寄与する力はどこから生まれたかは、上述したつもりですが、容易に分かりますね。    ・では、エネルギーが糸巻き車を前進させる力に変換されるメカニズムはどうなっているのでしょうか。    ・糸巻き車の各部分の「機能」を考えてください。    ・動力の発生源、動力をスムーズに伝達する部分、それはどこでしょうか。    ・動力の伝達に関しては、【マサツを必須とする部分】と【マサツができるだけ小さいほうが良い部分】は何かを考えてください。    ・糸巻き車を吊るした写真を見てください。輪ゴムに撚りがかかっていると、糸巻きは回転します。そうです。「回転」します。     これがヒントです。
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#630 実験63    広場でフリスビーをなげると数十メートル飛んでいきます。    このときフリスビーには、投げる瞬間に回転力を与えます。    その回転力をもっと積極的に与えるように工夫します。 #631 実験タイトル=UFOを飛ばす #632 実験の狙い=強い回転を与えられた物体の飛行状態を観察する。
写真左、ボール紙を円盤状に切りぬく
写真右、円盤の縁を折り曲げてクッションとする。
#633 実験装置の製作 and/or 準備 ・ボール紙、輪ゴム    ・ボール紙を直径10cm程度の円形に切り抜く。    ・きりぬいた円盤の縁に切り込みを入れる。 #634 実験の実行と結果 ・円盤の縁の切り込みに輪ゴムをかけて、引っ張り、離す。    ・円盤が強く回転しながら飛んでいく。    ・円盤を飛ばす方向のコントロールが行いやすい。 #635 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・人に向けないこと。    ・安全のためには、円盤の縁を折り曲げ、立てるとよいでしょう(写真右)。クッションになります。    ・広い場所で、大空高く飛ばしてみよう。 #636 実験の解説 and/or 関連実験 ・回転する物体は、外乱に対する抵抗が強く遠くまで飛行できる。     (円盤を回転させずに投げても、すぐ落下してしまいます。)    ・回転していない物体は、
実験42、紙飛行機 を作って飛ばしましたが、機体の安定性を保つためには     主翼の形状を改良する必要がありました。 #637 【追加実験、考察等】    ・狭い室内で実験するときは、低空飛行させてみよう。たとえば、椅子の脚の間を通してみよう。    ・このUFOでは、ゴムの引っ張り力を動力源としました。     実験61の糸巻き車では、輪ゴムに撚りを与えましたが、その時にもゴムには引っ張り力が与えられていました。    ・さて、それでは、多摩川の左岸からUFOを飛ばして、水の中に墜落せずに右岸に無事着陸できるだろうか。いずれやってみたい。    ・子供たちに台風の話をするとき、直径30cm弱のこんな円盤を用意しておき、回して見せます。     台風も強烈な回転をしていることや、寿命が長いことを話ます。      先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#640 実験64    低気圧は空気が渦を巻いていて、等圧面は、ロート状になっています。    この様子を、実験で模擬的に作り出し、渦の下の圧力がどのようになるかを確認します。 #641 実験タイトル=渦の下の圧力(回転流体下の静水圧実験) #642 実験の狙い=回転する流体(渦)の中心圧力が低下する状況を確認する。
写真左、容器の底面
写真中、回転前
写真右、回転中
#643 実験装置の製作 and/or 準備 ・茶筒の様な円筒形の容器、細い棒、輪ゴム、水。    ・円筒形の容器の底面には、写真左のように細いビニールチューブを連結しておきます。    ・チューブの一本は中心付近に、他の一本は外周付近に連結します。    ・水が漏れないように、接着剤で隙間を固めます。    ・ビニールチューブの開口端は、写真左のように上向きにして、輪ゴム2本で固定しておきます。 #644 実験の実行と結果    ・容器に水を入れます。    ・容器内の液面と、ビニールチューブ内の液面の水位が等しいことを確認します。 写真中において、(上の方の)輪ゴムの位置で、静止時の液面を示します。    ・容器内の水を細い棒で回転させます。    ・容器内の液面は、ロート状になり、中央部がへこみ、外周ではせり上がります。    ・一方、ビニールチューブ内の液面は、中央部からのチューブでは低下し、     外周部からのチューブでは高くなります。    ・このとき、2本のビニールチューブ内の水位を写真で分かり易くするため、     輪ゴムでもって高さを示すようにします。一本は元のまま、中心部のチューブでは、     輪ゴム位置を最初の位置から下方へずらせて水位に合わせます(写真右の状態)。    ・液面は写真右において、中心の低圧部では、(下の方の)輪ゴム付近まで下がりました。     外周の高圧部では、(上の方の)輪ゴム付近のやや上方まで上がりました。     #645 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・できるだけ深いロート状の渦巻きを作ると、ビニールチューブ内の液面の上下動が分かり易くなります。 #646 実験の解説 and/or 関連実験 ・低気圧や高気圧は空気が回転しています。    ・然しながら静力学平衡は成立しています。    ・その事実を、簡単に見るための実験です。 #647 【追加実験、考察等】    ・実験24、
#24 圧力計を作る    ・実験33、#33 密度成層を作る 先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#650 実験65    空気は気圧傾度の方向に運動します。気圧傾度は重力の一種と考えられます。    空気特に回転している空気、台風や温帯低気圧、そして高気圧等は、コマのように    回転しています。気圧傾度のある空間で、こっれらの回転物体がどのように動いていくか、    水平面上では、気圧傾度の方向に動いていくはずです。実験では、平板を傾斜させ、    その上でのコマの動きを観察します。そして、気圧傾度の存在する空間での台風等の    回転物体の運動を考えてみます。     #651 実験タイトル=平板斜面上のコマの運動 #652 実験の狙い=平板斜面上のコマの運動を観察する    平板斜面上のコマの運動
左回転のコマ、左斜下方向へ動く
右回転のコマ、右斜下方向へ動く
#653 実験装置の製作 and/or 準備 ・平板、コマを用意します。 #654 実験の実行と結果 ・平板を2〜3°程度傾けます。頂上付近でコマを回します。    ・コマは、最大傾斜方向には動きません。    ・コマが左回転のときには、必ず、左斜下方向に動きます。    ・コマが右回転のときには、必ず、右斜下方向に動きます。 #655 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・平板としては菓子箱、麺類の箱等、縦横幅が広くて、浅いものがよろしいです。    ・コマとしては、直径4cm程度の木製の小さいもので十分です。    ・
実験77、ジャイロ の「地球ゴマ」を使うと、     上下さかさまにすると一つの回転で、左右逆方向の回転が得られるので便利です。    ・平板の傾斜がきついと、コマはすぐに下方に落下していき、ゆっくり観察できないでしょう。 #656 実験の解説 and/or 関連実験    ・この実験において、傾斜した平板上でビー玉を頂上付近で手放すと、ビー玉は最大傾斜線に     そって落下していきます。 ・しかし、斜めになった平板上では、回転中のコマは斜め方向に動きます。何故か。    ・コマにおいては、最大傾斜線にそって落下させる力、コマの軸と平板の間のマサツ力、     そして、こまの角運動保存の性質が関係しているであろうと考えています。    ・これらを論理的関係で結ぶ必要がありますが、目下自分にとっては、「仮説」の段階です。 #657 【追加実験、考察等】 ・この実験において、傾斜させた平板上のコマの運動は、台風が北上する理由の説明に     適用することができる、と考えられます。    ・台風は、自分自身を自分でドライブする力がなく、周囲の気流によって     進路が大きく決定されます。    ・しかし、「自分の回転+斜面上」、という条件を与えると、     台風が「北西方向に、自然に進んでいく」ことが可能となる、と考えます。    ・もちろん、周囲の空気の存在及び風の流れにより、進路が大きく変わることはよくみる現象です。    ・台風の動きは、実験B6、台風のベストトラック において、コンピューターシミュレーションしています。 先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#660 実験66    子供のころ、友達同士でビー玉を当てる遊びがありました。互いにとったり、取られたり。    この実験では、同じビー玉を使って、遊びの中で運動(量)というものを体感し、いろいろ考えてみましょう。    力がかかる方向とか、直線とか、直線が形成する角度とか、さらにはビー玉の重さなどが問題となります。    子供たちにとっては、目的を成功させるため【意識を集中する中で】、一瞬のうちに総合判断し、決断する。    そんな訓練にもなるかな、と思います。 #661 実験タイトル=ビー玉でビリヤード #662 実験の狙い=運動量というものを体感する #663 実験装置の製作 and/or 準備 ・ビー玉、割りばし、テーブル #664 実験の実行と結果 ・ビー玉を3個(A、B、C)テーブルの上に離しておく。    ・割りばしをキュー(Cue)代わりにして、1個のビー玉Aをうつ。    ・打たれたビー玉Aはビー玉Bにあたり、ビー玉Bはビー玉Cに当たる。 #665 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・テーブルがなくても、やや大きい平たい菓子箱を使っても楽しめる。    ・テーブルには、テーブルクロスがかかったままでもかまいません。    ・硬い木或いは金属棒を壁として、AやBを反射させても面白い。    ・A、B、Cの相互の位置関係を変えて、当たる角度をさまざまに変えてみよう。     (ビー玉A、B、Cを直線上にならべて打ったり、壁に当ててクッションとしてみよう。)    ・ビー玉の数を4〜5個に増やして、遊んでみよう。 #666 実験の解説 and/or 関連実験 ・運動量の保存の法則を実感します。    ・一つの物体の運動が、他の物体の運動を引き起こし、そこに新たな運動が生じ、     以降、運動が連鎖反応的に伝達されます。    ・1個のビー玉が同時的に2個のビー玉に当たれば、運動が分割されることになります。    ・そして、運動は次第に減衰していくことにも気づくでしょう。 #667 【追加実験、考察等】 ・よくある実験ですが、ビー玉を2つ以上、同じ長さの糸で吊るして、カチカチ言わせてもよいでしょう。    ・物体(たとえばボール、たとえば石)を打ったり、蹴ったり、投げたりすると、その物体は運動します。     運動には、その運動の源泉となっている力や運動が存在します。mgであり、mvです。    ・この実験では物体が「直線運動」すること、させられることを見ることができます。     この直線運動から、「回転運動」を引き出すことは可能でしょうか。     そのための条件は何でしょうか。→運動の方向を変えてやる必要がありますね。    ・こういう問題意識をもつと、話は速度(v)とか加速度(g)と言う運動の本質に迫っていきます。 先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#670 実験67    紙風船。    大抵のものはたたくとへこんだり、小さくなります。しかも紙の状態だと、投げても飛んでいきません。 しかし紙風船は、たたくと小さくならずに膨らんできます。そして、膨らんだ紙風船をたたくと飛んでいきます。 #671 実験タイトル=紙風船であそぶ #672 実験の狙い=紙風船を叩き上げると膨らみ、横に投げると飛んでいきます。この様子を観察します。
紙風船、たたく前のへこんだ状態。
紙風船、たたいて丸く膨らんだ状態。
#673 実験装置の製作 and/or 準備 ・紙風船は100円ショップなどで売っています。    ・紙風船を自作するのは少々大変です。 #674 実験の実行と結果    ・半分程度ふくらませておいて(写真左)、あとは、上方へたたきあげると丸く膨らんでいきます(写真右)。 #675 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・10回程度たたきあげます。    ・紙風船は次第に膨らんできて、丸くなります。 #676 実験の解説 and/or 関連実験 ・たたいたとき、紙風船は一瞬体積が減少し内部は一瞬高圧になり、この高圧が紙風船を広げ膨張し、     低圧になろうとします。このとき、紙風船の入口からわずかに空気が入ってくると考えられます。    ・このわずかな空気の流入が、紙風船をたたくほど紙風船をふくらませることになります。 #677 【追加実験、考察等】    ・
実験02、空気の袋実験03、空気砲も紙風船と同じく空気が一瞬高圧になって、     その時運動性能がよくなります。 先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#680 実験68    ブーメラン。    ちょっとした手加減でうまく戻ったり、行ったっきりになります。    なかなか微妙な遊びですが、コツを体得すると、たいていうまく戻ってきます。    費用=0円で、できる遊びです。しかも本当は奥が深いです。 #681 実験タイトル=ブーメラン #682 実験の狙い=ブーメランを工作し、投げて、手元に戻ってくるかどうか試行錯誤してみます。
ブーメラン、コンビニ弁当の蓋を利用した。
1辺 9cm、これでも投げると手元に戻ってきた。
ブーメラン。
空中にある。
ブーメラン、100円ショップで購入した。全長
37cm。河川敷で投げたがうまく戻ってこなかった。
#683 実験装置の製作 and/or 準備 ・コンビニ弁当の蓋と、片面がのり付きのラベルを用意します。    ・この実験では、コンビニ弁当の蓋から任意の形状のブーメランを切り出します。    ・全体的形状は、一辺=9cmの正三角形とし、さらに、三枚翼として写真のような形状にしました。    ・翼端には、紙のラベルを張りつけました。 #684 実験の実行と結果    ・投げると最初は力が入り過ぎ、遠くまで行ったっきりになりました。    ・「手加減」すると、手元に首尾よく戻ってきました。    ・戻り方は、滑らかに旋回して帰って来る場合もあれば、前方に進行しつつ上昇し、そして急速に角度をつけて下降しながら     戻って来たりしました(厳密には見ていませんが)。さまざまな飛行ルートがあり、同じ軌道を飛ばせることは困難でした。    ・最初、10回投げて、手元付近への戻り=7回、行ったっきり=3回、でした。    ・次に、さらに10回投げて、手元付近への戻り=7回、行ったっきり=3回、でした。    ・完全に手元に戻ってきたのは、それぞれ数回ありました。 #685 実験を効果的に行うための工夫、注意点等    ・ブーメランの翼は、飛行機の主翼の断面に見られるように、上を凸にした形状にします。    ・そして、翼の端部に向かって、多少上向きになるようにしてもよいでしょう。 ・弁当の蓋で作った翼は、無色透明なため飛行中の姿がよく見えません。そこで、空中で浮かんでいる姿を見やすくするため      & 投げた後発見しやすくするため色のついたラベルを貼りました。    ・このラベルは、重りとしての機能も持たせたものです。すなわち慣性モーメントが大きくなり回転性能の向上を狙ったものです。    ・ブーメランを投げるときには、持つ位置と鉛直方向とのなす角度、スナップを効かせる強さを試行錯誤します。    ・このように小さいブーメランは、部屋の中で投げても旋回して帰ってきます。     スナップで与える力(回転力)も思いのほか小さくても十分戻ってきます。    ・ブーメランに回転を与えないようにして投げると、飛行軌道が安定せず、思わぬ方向に飛んで行ったり、曲がったりします。 #686 実験の解説 and/or 関連実験 ・ブーメランは、その翼に持たせた形状のため、揚力が発生し回転軸の方向への推進力となります。    ・回転中の機体の上部と下部における翼が受ける気流の速度差が、揚力の差になり、上下の揚力の差が機体を傾け、     (自転車で曲がる方向に体を傾けるがごとく)この傾きが、機体の公転軌道を左または右に決します。    ・角運動量は、射出時に与えられ、飛行中保存されています。機体の回転軸(自転軸)の傾きが変わろうとするとき、角運動量が     この傾きに反抗します。軸の傾きを保つ性質と回転する機体の上下の揚力差のバランスが機体の飛行の軌跡に関係していると     考えらえますが(間違っているかも知れませんが)、これ以上のことは分かりません。 #687 【追加実験、考察等】    ・
#42、紙飛行機を飛ばす実験においては、揚力と機体の安定性が問題とされますが、     ブーメランの場合は、その揚力を与える与え方や機体安定のための回転の与えかたに工夫、試行錯誤が必要です。    ・いろいろ試行錯誤した結果、ブーメランの機体をスナップを効かせて投げることはせずに、写真のように、     机などの台の上に機体を乗せて、翼端を割りばしなどの棒で軽く弾いてやると、安定した飛行と、確実な戻りが得られました     (下の写真左)。この方法は、弾道(公転軌道)を余裕を持って観察できますので、軌道や回転の研究になかなか有用です。    ・台の代わりに指先に乗せて弾くと、機体を斜めに保持できますので、発射角度を斜めにできます。(下の写真右)。
ブーメランを机の端に置き、翼端を割りばしで弾く。
ブーメランを指先に載せて、他方の手の指で翼端を弾く。
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#690 実験69    雨は落下中に蒸発し、見えなくなることがあります。    50階程の高層ビルの窓外に降下中の雪が、地上に落下する途中で消えてしまう、    と言う話を聞いたこともあります。    ドライアイスを空中に保持すると、白煙が流下します。空気中の水蒸気が昇華して、    凍ったものと考えられます。流下した白煙はやがて見えなくなります。    身近には、霧吹きで微小水滴を空中に作ると、日光を背にして虹ができますが、このとき    微小水滴が落下していく様子が観察されます。高い位置で霧を作ると落下途中で見えなくなります。    やかんや湯呑茶碗から立ち上る湯気も空気中に見えなくなります。    ごく当り前と思えるこの現象を、実現してみましょう。 #691 実験タイトル=消える雨 #692 実験の狙い=雨や氷をつくり、そして消える状況を実視する
ドライアイスの煙。空気中で蒸発し、消えていく。
霧吹きでできた水滴。空気中で蒸発し、消えていく。
 
#693 実験装置の製作 and/or 準備 ・ドライアイス、ビーカー、霧吹き、水を用意します。    ・ドライアイスをビーカーに入れておきます。白煙が流下する様子を観察します。    ・天気の良い乾燥した日に、霧吹きで微小水滴をつくります。水滴が流下する様子を観察します。 #694 実験の実行と結果    ・ドライアイスの白煙が流下し、見えなくなります。    ・微小水滴は、虹となり流下し、見えなくなります。 #695 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・特段の困難な問題もなく、実験できます。 #696 実験の解説 and/or 関連実験 ・微小な氷粒や微小な水滴は空気の温度、湿度条件により、途中で昇華したり、或いは蒸発したりして、     水蒸気へと相を変えます。 #697 【追加実験、考察等】 ・気象空間では、雪も降下中に消えたり、雨に変化したり、その雨が再結晶したりすることがあります。    ・上空で氷や雪となった水は、地上では、成層の温度構造如何によって、雨、雪、氷雨、霙(ミゾレ)降水なし、     等として観測されます。平成16年12月31日、関東地方では局地的に氷雨が観測されました。このときの     大気の構造がどのようなっていたかを検討し、推定してみましょう。     密度成層は、上空から下層に向かって温度が増加するが、氷雨を作るためには、上空の温度構造が屈曲している     必要がある。下図@Aの温度構造では氷雨は出来ない。上層から落下してきた雪が一旦融解し、液状になり、     さらに落下する過程で、再結晶しなければならない。この温度構造は、Bのように0℃以上の気層があって     さらにその下層、地表近くで0℃以下になっている必要がある。         ・話題は、少々異なるかも知れないが、水を一旦蒸発させ、次に凝結させ純水を作り出す、と言うことも可能です。     これは、洋上や砂漠で、飲み水を作る方法として知られています。
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