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気象実験(#40)

実験の様子を写真で紹介します。

Originated 2008-08/08 Last Updated 2008-08/30,09/30,10/24,11/10,12/03, 2009-2/08, 6/16, 2010-7/08
EXPM40  バケツを振り回す(ペットボトル+紐+水)、遠心力の実現
EXPM41  ヨーヨーを作る(コースター+糸)   角運動量の保存
EXPM42  紙飛行機を作って飛ばす(紙+ゼムピン)
EXPM43  ワイングラスで音楽を(ワイングラス+水)
EXPM44  イルカの玉突き(洗濯バサミ+ボトルのふた+糸+物差し+鉄の玉+ビニールチューブ)、自励振動=周期的な外力
EXPM45  凍らない水を作る(氷+塩+容器+試験管)、過冷却水
●=EXPM46  切っても切れない氷(氷+糸)、融解と復氷を実現する
EXPM47  グラスの結露(冷水+コップ)、湿度とガラスコップの表面の露の観察、露点
EXPM48  気化熱(コップ+脱脂綿+水)、水の蒸発と水温低下の実験、空気の流れが必須=発生した熱の除去と滞留防止=地球温暖化
●=EXPM49  ダイヤモンドダスト(ペットボトル+冷凍庫+プチプチ) 
        (関連実験●=  雪の結晶を作る(ペットボトル+糸+ドライアイスor氷+水+塩))

#400 実験40    水をバケツに入れて、上下さかさまに、ひっくり返すと、水は当然のことながら    こぼれてしまいます。しかし、こぼれない状況を作り出すことができます。    下手をすると、水をかぶることもあるリスキーな実験です。 #401 実験タイトル=バケツを振り回す #402 実験の狙い=遠心力の効果を体感する #403 実験装置の製作 and/or 準備 ・ペットボトル、丈夫な紐、水    ・大きいバケツを使って行うと、水をこぼす心配があるので、     2リットルのペットボトルの底部を切り取り、バケツの代用とします。    ・そして、手に持てるように紐を通します。 #404 実験の実行と結果 ・代用バケツに水を入れ頭上高く回転します。    ・水は容器の底にへばりつき、こぼれません。 #405 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・丈夫な紐を使ってください。紐が切れると、全体が何処へとんで     行くか見当がつきませんので、要注意です。    ・運動場や公園など、広い場所で実験してください。室内で行うには危険です。    ・この実験を終了するとき、すなわちバケツの回転を終えるとき、回転速度が落ちてきます。     このとき、水がこぼれないように「手さぐりで」回転を「なだめ」ます。     (サイエンスかかわる実験での表現としては、いささか不適切かも知れませんが、数値では      表現しにくい慣れ・技巧が必要です。)  #406 実験の解説 and/or 関連実験    ・冒頭の#400で書いた「水は当然のことながらこぼれてしまいます」、の状況においては     水には、地球の重力のみが鉛直下方に作用していました。しかし、どんな物体でも     回転状態になると、「遠心力」が加わります。この遠心力が重力よりも大きければ、     そして、紐が切れなければ、回転軸の方向にかかわらず、水はこぼれることはありません。 ・遠心力>重力の場合、回転する物体は回転中心から逃げて行こう(遠ざかろう)とします。    ・回転スピードが遅くなると、遠心力<重力となり、回転する物体全体が     円周軌道を保てなくなり、落下してきます。    ・この実験において、物体にかかる力関係は、「重力と遠心力との合力の方向に物体は力を受ける」、     と表現してもよいでしょう。 #407 【追加実験、考察等】    ・重力の方向を符号の+(プラス)として座標軸の方向を設定して考えるとき、     「合力=遠心力+重力」となります。すなわち、バケツが円周の一番下に来た時、回している     手には最大の力がかかります。バケツが円周の頂上(すなわち、自分の頭上)に来た時、     手には最小の力がかかることとなります。    ・注意して回していると、この状況を体感することができます。    ・実験83 水平面とは何か を参照して下さい。 先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#410 実験41    ヨーヨーを作ります。いろんな遊び方がありますが、私には    「犬を散歩させる」のも難しいです。    この実験では、遊び方はさておき、サイエンスの観点から    ヨーヨーの運動を観察してみます。 #411 実験タイトル=ヨーヨーを作る #412 実験の狙い=簡単な遊びの中に自然の働きの存在を体感する
コースター2枚で作ったヨーヨーです
#413 実験装置の製作 and/or 準備 ・コースター、串、糸 ・コースターを2枚用意し、中心部に小穴を開けます。    ・小穴に串を通します。    ・串に糸の先端を(テープ、のり等で)固定します。 #414 実験の実行と結果    ・糸を串に巻きつけます。    ・ヨーヨーの本体を手に持ち、静かに落下させます。    ・ヨーヨーは最下点に達したら、糸をたぐりつつ、上昇してきます。    ・以降、下降と上昇を繰り返します。    ・上昇する高さが次第に減少します。    ・1往復毎に、円盤の回転方向が逆転します。 #415 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・串の直径は小さいほうが、ヨーヨーは滑らかに、静かに運動します。    ・コースターは、ほかに木の円盤でももちろんOKです。    ・糸とコースターはできるだけ、接触しないようにする。    ・コースター(円盤)の表面はスベスベしている方がよい。    ・ヨーヨーの世界大会に出場できるくらいのヨーヨーを作るのは、なかなか難しいので、     この実験では、上記のごく身近な材料と簡単な作り方で、「ヨーヨーシステム」を作りました。     #416 実験の解説 and/or 関連実験 ・ヨーヨーの上下運動を起こす理由は、角運動量の保存の法則が適用され、説明されます。    ・ヨーヨーは、軸に巻き付けられた糸がほどけながら落下します。このほどけるときに     軸の(微小な)半径とコースターの自重による慣性モーメントが、回転力を生じます。    ・最下点に達したヨーヨーは回転速度が最大となっていますが、この時点での角運動量は     最下点であっても、消滅することなく、回転を継続しようとします。    ・この回転力があることが糸を手繰って上昇する力となります。    ・ヨーヨーは回転力が強い時は、少々の外乱に対して、影響を受けることはありませんが、     回転力が弱ってくると、糸とコースターがこすれた時のマサツ力の影響が顕著に効いてきて、     ヨーヨーの動きが乱れてきます。  #417 【追加実験、考察等】 ・糸とコースターがこすれることによるマサツ力等が、ヨーヨーの回転力にブレーキをかけます。     上下動を繰り返しながら、上下動の振幅が減少していきます。    ・n番目の上下動における上昇高さをhnとするとき、実験時間内における     合計の上昇高さhは(nを添え字とする) 、h=派n となります。    ・さて、ヨーヨーの最初の落下における高度差をh0とあらわすとき、h0<派n のように観察されます。    ・これは、「ヨーヨーシステム」のエネルギーが増加していることを示している。    ・何かがおかしいですね。。。 (実測値を下に掲載します。)           ・なお、ヨーヨーは、「コマ」と違って、糸が回転物体に縛り付けられていますが、     運動そのものは、両者とも大変似ていて、いろんな議論へ発展出来ます。    ・気象の現象とヨーヨーの運動とどんな関係があるでしょうか。     相互の関係はありませんが、気象現象の渦(たとえば、高気圧や低気圧の渦)の回転とヨーヨーの回転は、     その根底に「角運動量保存の法則」という法則が存在していて、現象を説明する根拠になっています。     気象予報士の方々にはお馴染みの「渦位保存則」(絶対渦度=(地球渦度+相対渦度)/渦の高さ、が一定であること)     の理論は、この角運動量保存則を使って説明します。この証明は拙著
天気図と気象理論、P.116 に掲載してあります。    先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#420 実験42    薄い紙や新聞紙、広告の紙など任意の形、サイズで飛行機の主翼を    作ります。先端にゼムピン等の重りをつけて飛ばします。    何回か試行錯誤すると、遠くまで飛んでいきます。 #421 実験タイトル=紙飛行機 #422 実験の狙い=紙飛行機をよく飛ばす工夫をする #423 実験装置の製作 and/or 準備 ・ありあわせの紙、はさみ、ゼムピンを用意する。 ・紙から翼を切り出す。    ・翼中央部にゼムピンをつける。 #424 実験の実行と結果    ・飛行機を飛ばす。    ・真っ直ぐ飛んだり、回転したりする。 #425 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・翼の形、大きさ、曲げ方など様々作って飛ばします。     すぐ曲がってしまったり、ゆっくり長距離を飛行したり、様々です。    ・試行錯誤を重ねると、どんな形の翼が自分の目的に     あったものかを見つけることになるでしょう。 #426 実験の解説 and/or 関連実験    ・物体が空中を飛行したり、浮遊したりする条件は何か。教科書を見れば書いてあるでしょう。     (そうは言っても→吸いつくスプーンに関連記事を掲載しています。)    ・その前に、まず、体感、実感してみましょう。     目的に向かって、何をどのようにすれ良いか、考え&試行してみよう。     紙飛行機つくりは、工夫することを体験できる最もとっつき易い実験の一つです。    ・本の中に書いてある理論は、ゲーテのファウストにある、      "Grau, teurer Freund, ist alle Theorie / Und gruen des Lebens goldner Baum."です。     灰色の理論を学ぶ前に、自然の生き生きとした、実の姿を見ることが大事です。 #427 【追加実験、考察等】 ・最長不倒距離、最大滞空時間、回転回数、宙返りなどできるように、     様々な形状の翼を作り、飛ばします。飛行競技大会ができます。 先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#430 実験43     ワイングラスに水を入れ、グラスの縁をこすると音が出ます。     子供たちは皆んなワイングラス演奏家です。 小さな指からきれいな音が出てきます。     次に、ワイングラスに水を入れ、カードでふたをして逆さまにします。     さて、水がこぼれるかな? 教室内には一瞬、緊張が。。。     この実験は、実験MO 表面張力と気圧の関係で行います。 #431 実験タイトル=ワイングラスで音楽を #432 実験の狙い=共振現象を体感する
ワイングラスの縁をこすると、きれいな音が生まれ出る
#433 実験装置の製作 and/or 準備 ・ワイングラに水を入れる。 #434 実験の実行と結果 ・人差し指に水を少しつける。    ・その濡れた人差し指でワイングラスの縁をこする。    ・音が出てきます。    ・水の量をさまざまにかえて、音を出してみましょう。 #435 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・ワイングラスの肉厚はできるだけ「薄い」ものの方がよい音が出ます。    ・どんぶり鉢などの肉厚の容器をこすっても音が出ません。    ・共鳴・共振現象は、グラスの厚みに大きく左右されます。厚手の     グラスでは、音が出にくいようです。グラスの縁をこするとき、     指先がぬれていると音が出やすいようです。またグラスの大小、     入れる水の量によっても音が異なります。共鳴・共振の条件は     何なのか、手探りし、良い音をだしましょう。  #436 実験の解説 and/or 関連実験    ・薄い肉厚の容器は、振動しやすく、すぐに良い音が出てきます。    ・この実験で用意したワイングラスおよび、湯飲み茶わん、普通のガラスのコップの写真です。
音の出具合:
◎=すぐに音が出てくる、○=少しの努力で音がでる、
▲=努力するとわずかな音が出る、X=音なし
番号外形mm内径mm差mm肉厚mm音の出具合
69.360.68.74.35  X
61.458.82.61.30  ○
60.056.43.61.80  X
83.578.35.22.60  X
58.455.62.81.40  ▲
61.158.21.90.95  ○
57.154.13.01.50  ▲
65.363.22.11.05  ◎

寸法は、グラスの最上端をノギスで計測した。
   ・ワイングラスをつめで軽く弾いてみたとき、薄い肉厚のグラス程残響時間が長かった。     ◎印のグラスはやや高価で3000円近くしました。その他のグラスなどは100円     ショップなどで購入したものや台所の食器戸棚から持ってきたものです。 #437 【追加実験、考察等】    ・輪ゴムを伸ばして、中間を指で弾きます。引っ張る長さに応じて、音の高さが     低音から高音まで変わります。小さい菓子箱に輪ゴムを数本引っ掛けると、     ウクレレが出来ますよ。長さに応じて振動数が異なります。    ・ハーモニカや草笛などは、空気の流れが薄い金属や葉っぱを振動させて音が出ます。    ・この実験では、ワイングラスの縁を指でこすりましたが、ガラス棒或いは金属棒で     グラスを叩いてみましょう。グラス内の水量を変えると、対応して音の高さが変わります。     楽器になります。ウォーターベルと呼ばれています。 先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#440 実験44    ブランコで遊ぶとき、背中を押してもらうと、高くまで到達します。    簡単なブランコを作って、背中を押す力の代わりに空気を送ります。    同じことですが、たまたま手に入れたイルカのおもちゃで同じことを実験してみます。 #441 実験タイトル=イルカの玉突き #442 実験の狙い=周期的な外力の働きを体感する #443 実験装置の製作 and/or 準備 ・洗濯バサミ、ボトルのふた、糸、物差し、鉄の玉、ビニールチューブ ・ペットボトルのふたを洗濯バサみではさみ、洗濯バサミに糸を通し、写真のように物差しにかけて吊るします。    ・ボトルの蓋には鉄の玉を乗せます。    ・以上でブランコの出来上がりです。 #444 実験の実行と結果    ・ブランコに向かってビニールチュ−ブから空気(呼気)を送ります。    ・間欠的、周期的に空気を送るとブランコの振幅が増大します。 #445 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・ブランコの振幅にあわせて空気を送ると、振幅が増幅されます。    ・ブランコの振幅に合わないタイミングで空気を送ると、振幅は減少します。 #446 実験の解説 and/or 関連実験 ・ブランコの振幅は、風がふきつける周期によって、振幅が増大したり、減衰したりします。    ・橋や建物は、風から力を受けて振動します。これらの構築物の振幅が、風の波長に合うと振幅が増大し、     破壊することがあります。    ・米国のタコマ橋の崩落は、風の影響による事故として関係者にはよく知られています。 #447 【追加実験、考察等】 ・おもちゃのイルカで遊んでみます。    ・指先で外力を与えるのがタイミング的に難しいので、ビニールチューブから空気を吹き付けます。    ・振幅が増大すると、やがてイルカは、上空にある玉を突き始めます。         ・実験M1の連成振子も同じ原理の実験です。 先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#450 実験45    水は通常0°で凍りますが、マイナス4°になっても凍らない場合があります。    この凍らない水は「過冷却」の状態にあります。上昇気流により、断熱的にもちあげられた水蒸気は、    上空で過冷却状態の水滴となります。そういう水を、地上の自分の家で作って見ましょう。 過冷却水の作成と氷筍の形成 #451 実験タイトル=凍らない水を作る #452 実験の狙い=過冷却水を実際に作ってみる #453 実験装置の製作 and/or 準備 ・氷、塩、試験管、広口の容器、水、温度計2本、断熱材 #454 実験の実行と結果 ・広口の容器に氷を入れ、塩を入れ、かきまぜる    ・試験管に水をいれ、静かに【塩+氷】の水の中につける。    ・容器の中の【塩+氷】の温度を監視する。    ・温度がマイナス0°以下になったら、試験管を動かさずにさらに温度が低下するのを待つ。    ・別途、もう一本の温度計で、試験管の中の水の温度を監視しておこう。     マイナス4〜5℃でもその水は凍っていません。 #455 実験を効果的に行うための工夫、注意点等    ・実験の環境温度は低いほうが望ましいので、     広口容器全体を断熱材でかこんで実験するとよいでしょう。 ・水は、凍ることなく0℃以下になると、非常に「不安定な」状態になり、     何らかの外的な刺激、振動によって動かされると一瞬のうちに水が氷結してしまいます。    ・家庭用の冷凍庫でも過冷却水ができますが、見えないところで作られるので、いつ過冷却水が     できるのか見当がつきにくいです。この実験のような方法は、夏場でも、家庭の常温の環境下     で過冷却水を作ることができます。 #456 実験の解説 and/or 関連実験    ・氷に塩をかけると、実験50、氷に塩をかける で行ったように、氷が溶けていきます。     そして、その塩水の温度はどんどん低下していきます。凝固点降下と呼ばれる現象です。 ・試験管の中の凍らない水は「過冷却水」と呼ばれます。 #457 【追加実験、考察等】 ・空の上空では、この「過冷却水」が存在していて、雨粒となり易い、と言われています。    ・詳しくは拙著「天気図と気象理論」のP.65(過冷却水滴と氷晶の共存状態における氷晶化促進の仕組み)を参照してください。    ・実験M6、着氷現象、も参考にして下さい。 先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#470 実験47    冷水を入れたグラスで結露の観察と露点温度の計測実験をおこないます。    室温、湿度、グラスの壁面温度、気圧を測定します。    また、露点温度にかかわる理論につき、若干の説明をおこないます。 #471 実験タイトル=グラスの結露 #472 実験の狙い=露点という温度を知る #473 実験装置の製作 and/or 準備 ・グラス、冷水、室内温度計、放射温度計、湿度計、気圧計を用意する。 #474 実験の実行と結果 ・冷水をグラスに注ぐと、グラスの壁面に結露します。 室温、湿度、壁面温度、気圧は、下表のようになりました。
測定値

冷水の温度    13.6 コップの壁面温度 13.6 室温       25.2 湿度        62% 気圧       1020hPa
#475 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・物体の表面温度の計測のためには、放射温度計が便利で、有効です。 #476 実験の解説 and/or 関連実験 ・「露点」とは、空気の性質でなく、水蒸気の性質を表す物理量です。     ある空気塊(温度、圧力)が与えられたとき、その空気内で水蒸気が飽和     できる水分量には上限があり、これを飽和水蒸気量と言います。     この飽和状態の水蒸気を冷却していくと、やがて、湿度100%となり、 凝結、液化、結露します。      さて、水の相変化がグラスの表面で起こっています。      空気中の水蒸気は、温度に応じて、相変化し、液化します。暖かい空気に     含まれている水蒸気は、暖かい側の壁面に結露します。これは、暖かい側の     壁面が低温側の熱が伝わってきて、冷やされたためです。低温側の壁面が     結露しない理由は、熱が高温側から伝わってきて壁面を高温化し、従って、     飽和温度が上昇してしまうためです。いずれにしろ、高温側のグラス壁面で     露点にまで温度低下→高温側の空気中の水蒸気が飽和し、結露します。     上記の説明とともに、(特段の説明は行いませんが)下図も参考にしてください。   #477 【追加実験、考察等】    ・グラスに温湯を入れた場合とグラスプに冷水を入れた場合とでは、     グラスの壁面のどちら側に結露するかを確認します。     (尚、壁を伝って落下する水滴が次第に大きくなることを観察する。      温湯の場合、グラスにふたをしたとき、グラスの内部が煙ったように見える。これは雲です。      ふたに付着した水滴を虫眼鏡で観察すると、微小な水滴が無数に見えます。) 参照→実験#M8、
天井の結露    ・気象空間では、大気上昇→断熱膨張→温度低下、水蒸気が飽和し    (湿度100%となり)、凝結し、雲(霧、もやも含む)となる。     草木の葉っぱの上に露ができます。このほか、家屋における壁面     の結露や、車の窓ガラスが曇るのも同じ理屈です。     一方、露点温度を数表などから理論値として求めることができます。     この温度まで室温を低下すると、室内の湿度が100%となり、壁面に結露を生じます。 先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#480 実験48    水が気化(蒸発)するときの気化の効果を測定します。 #481 実験タイトル=蒸発熱 #482 実験の狙い=気化熱(蒸発熱)の効果を測定する #483 実験装置の製作 and/or 準備 ・コップ、水、脱脂綿、温度計(棒状温度計、放射温度計) #484 実験の実行と結果 ・コップに水をいれ放置します。    ・コップの上部には脱脂綿を置き、水がすいあげられるようにします。    ・このとき、水の温度、コップの壁面温度、脱脂綿の表面温度を計測します。 #485 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・脱脂綿で水の蒸発を促進させます。 #486 実験の解説 and/or 関連実験 ・液体の水が、蒸発するとき蒸発のためには熱が必要となります。    ・この熱は気化熱or蒸発熱と呼ばれ、水及び周囲の物から調達されます。    ・このとき、熱を奪われた物は温度が低下します。
測定値(毎時)     0:00    1:00    2:00    3:00    4:00
水の温度          18.0    18.0    18.9    17.9     ---
コップの壁面温度    18.3    16.8    12.5    16.3     ---
脱脂綿の表面温度    13.6    12.4     8.9    10.1     8.1
   脱脂綿の表面温度の低下が著しい。これは、蒸発の潜熱(気化熱)が奪われたことによります。 #487 【追加実験、考察等】 ・ワインクーラーで水温が低下する場合、夏、打ち水で気温が低下するなどはすべて気化熱によるものです。    ・ためしに、物質(土、板、レンガ)によって温度差があるかどうか、追加実験してみました。    
物質ごとの表面温度変化
土、板、レンガの表面温度を計測した
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#490 実験49    水や水蒸気が相変化するとさまざまな形となります。    雨粒、雨だれ、氷、雪、あられ、霜、ダイヤモンドダスト、つらら、氷柱等々。    実生活では、水道管の凍結、船体や航空機の着氷、送電線の着雪、凍上等の被害もあります。    この実験では、ダイヤモンドダストを作ります。そして、空気中で微小な氷(氷晶)が    過冷却水滴からできていく仕組みにも言及します。  #491 実験タイトル=ダイヤモンドダストを作る #492 実験の狙い=水と言う物質が温度条件によってさまざまな姿となることを確認する    写真は、実験場所の全景です(水滴噴射後の様子です)。    実験装置付近の気象条件は、気温6℃、湿度−−%、微風あり、でした。    霧吹きで水滴噴射後のペットボトル内部空気温度5℃、装置付近の湿度68%(写真参照) #493 実験装置の製作 and/or 準備 ・ペットボトルを用意し、その底部を切り取ります。    ・霧吹きも用意し、水を半分くらい入れます。    ・やや大き目のダンボール箱(装置全体を収納&直射風を避ける)    ・デジタル温度計、湿度計 #494 実験の実行と結果    ・冷凍庫へペットボトルおよび霧吹きを入れて、空気および水を冷却します。    ・ペットボトル内部の空気は、20分ほど経過すると−18℃程度に低下します。     温度低下の様子は、0.6℃程度の温度幅で上下しつつ、漸減していきました。     ペットボトル内部には、空気の対流があったものと考えられます。     ・霧吹きのタンク内の水温は、40分ほど経過すると、零度以下になります。     零度以下になると、氷ができ始め、以降水と氷の共存状態のまま、温度低下が     ほとんど見られなくなり、70分経過後であっても−0.4℃程度でした。 【冷凍庫内に入れたペットボトル内空気温度、霧吹きのタンク内水温の実測値】  (ペットボトルの大きさ=1.5リットル、霧吹きのタンク直径4.5cm、水深6cm)
時間経過(分) 00  02  03  04  05  06  07  08   09   10   12   14
空気温度(℃) 20  10  03  -1  -5  -8  -9 -11  -12  -13  -14  -15
水の温度(℃) 17  15      15      14      13        12   11   10    

時間経過(分) 16 18 20 22 24 26 28 30 40 50 60 70  空気温度(℃)-16 -17 -18 -19 -19 -20 -20 -21 水の温度(℃) 09 08 04 -0.4 -0.6 -0.4 -0.4
   ・冷凍庫からペットボトルおよび霧吹きのタンクを取り出します。    ・冷却したペットボトル、霧吹きを室外においたダンボール箱の内側に置きます。    ・ペットボトル上部で、霧吹きで水滴を噴射します。    ・霧吹きからの水滴が氷結し、氷の雲ができる「見込み」でした。     結果として、氷の雲はできませんでした。霧吹きの微小水滴が噴射しただけでした。    ・この原因としては、外気温が+6℃であったため、水滴の氷結には至らなかった、     或いは、もっと手早く、段取りよく実験を進行する必要があった、と考えられます。    ★外気温がもっと低下し、零度以下になったら、再実験を行いたいと考えています。     気温がもっと低い時には、霧吹きを使わず、自分が呼吸する吐息で代用してみましょう。     ・なお、ペットボトル内の空気の温度を−18℃程度に保つことができるとき、     プチプチを破裂させると、ダイヤモンドダストができることとなります。 #495 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・せっかく作った冷気が逃げないよう断熱材でペットボトルの周りを囲んでおくとよいでしょう。    ・できた水滴やダイヤモンドダストを見やすくするため、背景を暗くします。     或いは、焦点を絞ることができる懐中電灯の光を当ててみます。     ・ペットボトルでなくても、プラスチックや金属の容器でもかまいません。     冷気をいかにつくるか、冷凍庫に入れ易い形状のものがよいでしょう。    ・実験装置には、風が直接当たらない様にします。 #496 実験の解説 and/or 関連実験 ・水蒸気が冷たい空気によって冷やされ、微小な水滴または微小な氷になります。    ・プチプチを破裂させたとき、いったん微小な氷(氷晶)ができると、過冷却状態にある     まわりの微小水滴は、下記の飽和水蒸気圧の差により、氷晶化が促進されます。    ・過冷却水滴と氷晶の共存状態における氷晶化促進の仕組み     過冷却水滴(大きいマル)と氷晶☆が共存するとき、おのおのの水面上、氷面上に     おける飽和水蒸気圧は、氷面上の飽和水蒸気圧Pi<水面上の飽和水蒸気圧PL です。     この圧力傾度のため、水滴の表面では未飽和状態、氷の表面では過飽和状態となります。     水滴表面からは、どんどん水分子が蒸発し、水蒸気(小さいマル)となります。     氷の表面では、過飽和のため、飛び込んできた水蒸気はどんどん固体化(氷晶化)     します。このようにして、氷晶が成長します。    (図は、水のP-T線図の一部を拡大したもので、三重点よりも温度が低いあたりの、     過冷却水滴の存在するあたりを示しています。     拙著シリーズ#2、
P.65、氷晶化促進の仕組み 参照)       同じ表現ですが、過冷却水滴(大きいマル)と氷晶☆の表面上の圧力傾度の存在     (Pi<PL)により低圧側にH2О粒子が移動します。その結果、低圧側の氷の表面     では過飽和状態となり、どんどん氷となります。 #497 【追加実験、考察等】    ・蔵王の樹氷ができる原理を思い出してください。風が日本海の水蒸気を運んできて、     樹木に氷の結晶が成長します。 ・過冷却水を凍らせるときにも、氷の結晶ができます。    ・冬の寒い朝、息を吐き出すとき、白い息が出てきます。その時の気温にもよりますが、     微小水滴、或いはダイヤモンドダストのいずれかができたことになります。   先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
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